セッション情報 ポスター

症例胃癌3

タイトル P-280:

著明な低K血症およびアルカローシスをきたし,診断に苦慮した胃癌の1症例

演者 田所 知命(九州厚生年金病院内科)
共同演者 牧山 明資(九州厚生年金病院内科), 園田 浩一朗(九州厚生年金病院内科), 吉村 健司(九州厚生年金病院内科), 鈴木 俊幸(九州厚生年金病院内科), 平野 元(九州厚生年金病院内科), 小川 和広(九州厚生年金病院内科), 牧山 千夏(九州厚生年金病院内科), 飯田 真大(九州厚生年金病院内科), 上平 幸史(九州厚生年金病院内科), 坂井 義之(九州厚生年金病院内科), 樋口 雅一(九州厚生年金病院内科), 藤澤 聖(九州厚生年金病院内科), 一木 康則(九州厚生年金病院内科)
抄録 症例は84歳,男性.2013年に腰痛,左下腿痛を主訴に近医整形外科を受診.腰椎MRIにて多発骨転移を疑う所見,CTにて鎖骨上窩,腋窩,縦隔,肺門,腹腔内リンパ節腫脹を認めたが,明らかな原発巣は不明であった.精査加療目的に当科紹介となり,内視鏡・CTにて胃腫瘍および多発リンパ節転移,骨転移,副腎転移を指摘された.胃腫瘍の生検では中分化型腺癌の診断であったが,血清学的にproGRPの著明高値を認めたため免疫染色施行したところ,神経内分泌系のマーカーが陽性かつ,Ki-67 indexが60%と高値であり,神経内分泌癌であることが判明した.経過中に治療抵抗性の著明な低K血症,アルカローシス,高血圧を認めた.腫瘍随伴症候群を疑い精査したところ,血中ACTH・コルチゾール高値を認め,日内変動が消失していた.CRH負荷試験にてACTHの反応性増加を認めたが,コルチゾールは反応認めなかった.下垂体MRIにてmicroadenomaを認めず,下垂体腺種によるCushing病は否定的であった.以上から診断は異所性ACTH産生性の転移性胃癌と考えられた.現在,保存的加療を行う方針となり,ミトタン投与を計画中である.異所性ACTH産生腫瘍は稀な疾患であり,若干の文献的考察も含めて考察する.
索引用語