セッション情報 ポスター

症例胃癌3

タイトル P-282:

invasive micropapillary carcinoma(IMPC)成分を伴った胃粘膜内癌の1例

演者 田中 宏樹(JA三重厚生連鈴鹿中央総合病院消化器内科)
共同演者 馬場 洋一郎(JA三重厚生連鈴鹿中央総合病院病理診断科), 磯野 功明(JA三重厚生連鈴鹿中央総合病院消化器内科), 松崎 晋平(JA三重厚生連鈴鹿中央総合病院消化器内科), 斉藤 知規(JA三重厚生連鈴鹿中央総合病院消化器内科), 佐瀬 友博(JA三重厚生連鈴鹿中央総合病院消化器内科), 岡野 宏(JA三重厚生連鈴鹿中央総合病院消化器内科), 向 克巳(JA三重厚生連鈴鹿中央総合病院消化器内科), 西村 晃(JA三重厚生連鈴鹿中央総合病院消化器内科), 田岡 大樹(JA三重厚生連鈴鹿中央総合病院外科), 村田 哲也(JA三重厚生連鈴鹿中央総合病院病理診断科)
抄録 症例は70歳女性.胃癌術後状態(2年前,ESD).今回,健診での上部消化管内視鏡検査において前庭部小彎前壁に反応性隆起を伴う発赤陥凹病変が認められ,鉗子生検にて高分化型管状腺癌と診断された.早期胃癌(IIc,tub1,M)の診断のもと病変に対しESDが施行された.病理組織学的検討において病変は粘膜固有層内に限局したtub1を主体とした病変であり,一部に乳頭腺癌やIMPC成分(約10%)が認められた.IMPC成分ではEMAやMUC1,D2-40の染色態度よりinside-out patternを確認した.その他,CK7陽性,CK20陰性,MUC5AC,MUC6陽性,E-cadherin,βcatenin陽性,HER2陰性であった.ly0,v0,HM0,VM0で画像上転移は認めなかった.2年5か月後の健診において,ESD瘢痕上に陥凹性病変が認められた.ul-IIIs合併早期胃癌(IIc,tub1,M)と診断され,病変に対して幽門側胃切除術が施行された.病理組織学的検討ではIIc(ul-IIIs合併),tub1>>tub2>por2,M,ly0,v0,HM0,VM0であった.術後1年3か月無再発生存中である.IMPCは乳管,肺,唾液腺,尿路,胆管,主乳頭,膵,大腸でも報告されている組織亜型である.胃では進行癌症例での報告が認められるが,検索し得た範囲で粘膜内に限局した病変の報告はない.本症例ではESDを施行し,脈管侵襲もみられなかったが,IMPCの組織型が高頻度なリンパ管侵襲,リンパ節転移,予後不良の指標とされており,ESD治癒切除の判定には注意を要する.またESD後に異時多発と思われる病変を認めており,IMPCを伴う胃癌では異時多発の可能性を念頭に置く必要があり,高頻度のリンパ節転移を考慮し,CTを含めたサーベイランスが必要であると考える.
索引用語