共同演者 |
水野 滋章(日本大学医学部内科学系消化器肝臓内科学分野), 牧野 加織(日本大学医学部内科学系消化器肝臓内科学分野), 宮田 隆(日本大学医学部内科学系消化器肝臓内科学分野), 大山 恭平(日本大学医学部内科学系消化器肝臓内科学分野), 川島 志布子(日本大学医学部内科学系消化器肝臓内科学分野), 中村 由紀(日本大学医学部内科学系消化器肝臓内科学分野), 堀内 裕太(日本大学医学部内科学系消化器肝臓内科学分野), 上原 俊樹(日本大学医学部内科学系消化器肝臓内科学分野), 好士 大介(日本大学医学部内科学系消化器肝臓内科学分野), 岩本 真帆(日本大学医学部内科学系消化器肝臓内科学分野), 菊池 浩史(日本大学医学部内科学系消化器肝臓内科学分野), 佐藤 秀樹(日本大学医学部内科学系消化器肝臓内科学分野), 原澤 尚登(日本大学医学部内科学系消化器肝臓内科学分野), 松村 寛(日本大学医学部内科学系消化器肝臓内科学分野), 森山 光彦(日本大学医学部内科学系消化器肝臓内科学分野) |
抄録 |
【背景】我国におけるHelicobacter pylori菌感染症に対する一次除菌PPI(P)+AMPC(A)+CAM(C)成功率は近年75%程度に低下,二次除菌PA+MNZ(M)は90%前後で推移と報告され,除菌失敗例が存在する.ペニシリン(PC)アレルギー等によるPAC,PAM不耐例も経験される.2013年2月から内視鏡的胃炎も保険適応となり,除菌症例の著増も予測され,三次除菌適応例が増加すると考えられる.三次除菌療法については,本邦のRCTにより高用量PA,PA+LVFX(L)よりもPA+STFX(S)が優れている事が示された(J Gastroenterol, 2013)が,その成功率は70%と十分ではない.【目的】適切な三次除菌療法を模索するため,当院での三次除菌療法施行例を検討する.【方法】PAC,PAMによる一次,二次除菌失敗14例,一次除菌時のPCアレルギー1例,中国で6回の除菌失敗1例,及びCで肝障害の既往1例も含めて,三次除菌を施行した17例について検討した.除菌判定は,内服終了2か月以上経過後に尿素呼気試験にて判定した.【成績】男11例,女6例,年齢33-81歳.P(RPZ30mg分3 or LPZ60mg分2)+A1500mg分3+L500mg分1での除菌成功率は全体で60%(3/5),7日間0%(0/1),14日間75%(3/4).LをS200mg分2に置き換えたPASでの成功率は全体で62%(5/8),10日間57%(4/7),14日間100%(1/1).P+AMPC2000mg分4の14日間では0%(0/2).P+M500mg+S200mg分2の7と14日間では各々100%(1/1).副作用出現2例(下痢or血便)及びコンプライアンス不良2例では除菌失敗.【結論】STFXを含めた三次除菌療法は成功率70%(7/10)と比較的高率で,三次除菌薬の第一選択になり得る事が示唆された.PASだけでなく,PMSも有効な可能性がある.除菌率向上のみならず,コンプライアンスや副作用などを考慮した上での投与方法,期間,PPI量などの検討を継続し,一般臨床で推奨できる三次除菌療法の確立と保険適応が望まれる. |