セッション情報 ポスター

H.pylori感染症2

タイトル P-292:

当院におけるH.pylori除菌療法の現状と,ピロリ関連胃炎のH.pylori除菌療法保険適用の影響

演者 上野 哲(高島市民病院内科)
共同演者 大塚 正樹(高島市民病院内科), 武鑓 豊文(高島市民病院内科), 小泉 聡(高島市民病院内科)
抄録 【目的】2013年2月21日より,ピロリ関連胃炎に対してH.pylori除菌が保険適用となり,H.pylori除菌療法の対象患者背景が大きく変貌した.また,H.pyloriの1次除菌率は年々低下し,また施設間・地域間の差が生じている.除菌対処患者に,正確な除菌療法に関する情報を提供することの重要度が上がっていると思われる.今回我々は,2010年1月から2013年8月の期間に当院で施行したH.pylori除菌療法の実際と内容を検討し,さらに2013年2月21日前後での比較を行い,ピロリ関連胃炎に対するH.pylori除菌保険適用の影響を明らかにする.【方法】対象:2010年1月~2013年8月の期間に「ヘリコバクター・ピロリ感染症」または「ヘリコバクター・ピロリ関連胃炎」と診断された患者のうち,1次または2次除菌療法が施行された患者.検討項目:患者の年齢及び性別・除菌率・原疾患・除菌率・CAM用量及びPPIの種類による除菌率への影響.【結果】全対象患者は279人(男性156人,女性123人)であった.平均年齢は61.5±13.4歳であった.2013年3月以降の患者の平均年齢は64.0±11.9歳であり,それ以前の平均年齢59.4±14.5歳とは有意差をもって高齢化していた.全期間中に1次除菌を施行され,除菌判定まで行われた患者は195人(男性110人,女性85人)であった.当院での1次除菌率は75.4%であった.2013年3月以降の一次除菌率は57.1%であり,それ以前の1次除菌率78.4%とは有意差をもって低下していた.全期間におけるCAM400mg投与での除菌率は75.3%でCAM800mg投与での除菌率75.5%と有意差はなかった.エソメプラゾール,ラベプラゾール・ランソプラゾール・オメプラゾール投与の除菌率は各々,74.1%・77.0%・80.0%・36.3%とオメプラゾール投与の除菌率が有意に低かった.【結論】ピロリ関連胃炎に対するH.pylori除菌の保険適用により,対象患者層は高齢化し,除菌率は低下した.
索引用語