セッション情報 ポスター

H.pylori感染症2

タイトル P-293:

H. pylori除菌治療適応拡大後の内視鏡検査の現場における状況

演者 河野 真(東京医科大学消化器内科)
共同演者 後藤田 卓志(東京医科大学消化器内科), 草野 央(東京医科大学消化器内科), 稲葉 良彦(調布東山病院消化器内科), 森川 吉英(調布東山病院消化器内科), 下田 忠和(国立がん研究センターがん対策情報センター・PCLジャパン病理細胞診センター), 森安 史典(東京医科大学消化器内科)
抄録 【背景】2013年2月より慢性胃炎に対するH. pylori除菌治療が保険適応となった.上部消化管内視鏡検査(EGD)において,これまで“H.pyloriの長期感染に伴う普通の所見”が治療の対象となり適切かつ効率的に拾い上げる必要が生じたことで,現場にて多少の混乱が生じている.【目的】市中一般病院におけるEGD受診者のH. pylori除菌の有無,内視鏡所見とH. pylori感染評価の施行有無について明らかにする.【対象と方法】2013年8月5日から9月30日の間,当該施設にてEGDを施行された,連続する654例を対象とした.プロトコールに従い検査前に看護師が問診票を記載,検査後に内視鏡所見を施行医が記載した.問診項目は,検査前の一般的な項目に加えH. pylori除菌歴を聴取した.内視鏡所見は一般的検査所見に加えて,木村・竹本分類に基づく内視鏡的胃粘膜萎縮の評価などH. pylori関連所見を記載した.また,EGD時および検査後にH. pylori感染評価行ったかについても記載した.【結果】年齢の平均は60.03±12.0歳,男女:317/337,H. pylori除菌歴を有した症例は15.7%(103/654),萎縮性変化を認めた症例は48.8%(319/654;closed-type/open-type:147/171)であった.萎縮性変化を認めたうち,問診によりH. pylori感染状況が判明していた(除菌後を含む)症例は42.3%(135/319),今回新たに感染評価を行った症例は27.3%(87/319)であったが,30.4%(97/319)の症例でH. pylori感染の評価が未施行のままであった.【まとめ】慢性胃炎に対するH. pylori除菌治療が保険適応になって間もないが15%で既に除菌が行われていた.また,EGD中に萎縮性胃炎を認めH. pylori感染が疑われても少なくとも3割は感染評価を行っていなかった.今後,慢性胃炎の除菌評価時のEGD用件を含めて感染評価方法の運用基準が求められる.(UMIN 000012036)
索引用語