セッション情報 ポスター

H.pylori感染症2

タイトル P-295:

残胃癌手術症例におけるヘリコバクター感染

演者 堤 敬文(国立病院機構九州医療センター消化器センター外科・臨床研究センター)
共同演者 桃崎 征也(国立病院機構九州医療センター消化器センター病理部), 楠元 英次(国立病院機構九州医療センター消化器センター外科・臨床研究センター), 杉山 雅彦(国立病院機構九州医療センター消化器センター外科・臨床研究センター), 太田 光彦(国立病院機構九州医療センター消化器センター外科・臨床研究センター), 木村 和恵(国立病院機構九州医療センター消化器センター外科・臨床研究センター), 坂口 善久(国立病院機構九州医療センター消化器センター外科・臨床研究センター), 楠本 哲也(国立病院機構九州医療センター消化器センター外科・臨床研究センター), 池尻 公二(国立病院機構九州医療センター消化器センター外科・臨床研究センター)
抄録 【目的】幽門側胃切除後の患者は増加しており,それとともに残胃に癌を認める残胃癌症例の増加もみられている.胃癌発生に重要とされるヘリコバクター・ピロリ菌の残胃癌に対する影響は十分検討されておらず,その関与は不明である.今回われわれは,残胃癌手術症例を対象としてヘリコバクター・ピロリ菌の感染を含めた臨床病理学的特徴を明らかにした.
【方法】1992年7月より2010年6月までの期間,当院にて手術を施行した残胃癌症例30例を対象とした.性,年齢,主訴,初回手術時の再建法,組織型,深達度,リンパ節転移の有無,残胃癌に対する手術法,ヘリコバクター・ピロリ菌感染の有無などの臨床病理学的項目について検討した.また術後の5年生存率についても検討した.生存率の検討にはKaplan-Meier法を用い,グループ間の検定にはlog-rank testを用いた.P<0.05を有意差ありとした.
【成績】男女比は28:2と男性に多く,平均年齢は71.7±8.3歳と高齢であった.幽門側胃切除の原因となった疾患は良性が12例,悪性が18例であり,発見の動機として主訴があるものは18例であったが,12例は無症状であったが定期検査により発見されていた.初回手術時の再建法はBillroth-I法が14例,Billroth-II法が16例,組織型は分化型腺癌が22例,未分化型が8例であった.残胃癌症例の5年生存率は46%であった.深達度ではT3-4の群はT1-2の群と比し有意に予後不良であった.またリンパ節転移が有る群も無い群に比べ有意に予後不良であった.残胃癌に対する手術法は27例に対し残胃全摘を施行しているが,残胃部分切除を3例に施行しており,全例生存していた.切除標本においてヘリコバクター・ピロリ菌感染は12例(40%)に認めた.
【結論】残胃癌におけるヘリコバクター・ピロリ菌感染率は高くなく,残胃癌発症には他因子の関与が示唆された.
索引用語