セッション情報 ポスター

症例その他(胃・十二指腸・外科)

タイトル P-296:

胃癌手術患者の予後におけるサルコペニアの影響

演者 木山 輝郎(東大宮総合病院外科)
共同演者 菅野 仁士(日本医科大学消化器外科), 藤田 逸郎(日本医科大学消化器外科), 小野寺 浩之(日本医科大学消化器外科), 金沢 義一(日本医科大学消化器外科), 加藤 俊二(日本医科大学消化器外科), 内田 英二(日本医科大学消化器外科)
抄録 加齢による骨格筋肉量と骨格筋力の減少はサルコペニアと定義され,消化器外科手術における合併症や死亡率に関連することが報告されている.特に,胃切除後は食事摂取量の減少や消化機能の低下から体重が減少し,筋肉量も低下する.しかし,胃癌患者の予後とサルコペニアの関連は明らかではない.そこで,胃切除を行った胃癌患者の術前の筋肉量と予後との関連ならびに筋肉量の変化を検討した.対象:日本医科大学消化器外科で2005年から2006年に胃切除を行った胃癌患者228名のうち,術前に生体インピーダンス法(Inbody)により体成分分析を行った122名(男性82,女性40,64.9±10.9歳)を対象とした.臨床病期(13版)はIA64,IB15,II12,IIIA12,IIIB3,IV16であった.5年生存率はKaplan-Meier法でLog-rank testにより検討した.結果:術前の平均筋肉量は標準値の98.8%(66-120)であった.筋肉量は体細胞量と有意に相関していた(r=0.18,p<0.0001).標準値の94%未満の低筋肉量の患者は38名(31%)であった.低筋肉量の患者の全生存率は正常/高筋肉量の患者に比べ有意に低下していた(p=0.0146).5年生存率は低筋肉量の患者では64%であるのに対し,正常/高筋肉量の患者では82%であった.一方,低筋肉量の患者は臨床病期の進行に伴って増加していた(p=0.0192).平均筋肉量は術後1年で標準値の94.1%(72-116),2年で90.9%(77-113)に低下した.結語:サルコペニアは胃癌患者の長期予後との相関がみられた.臨床病期との関連からサルコペニアは胃癌の進行によるものと考えられた.サルコペニアは術後増加するので,継続的栄養管理にはリハビリテーションを併用する必要がある.
索引用語