セッション情報 ポスター

GERD 2

タイトル P-308:

咽喉頭異常感症に対するPPI投与の効果の検討

演者 小野 雄司(市立札幌病院消化器内科)
共同演者 高木 智史(札幌社会保険総合病院消化器内科), 吉田 純一(札幌社会保険総合病院消化器内科)
抄録 【目的】咽喉頭異常感症は客観的所見のない咽頭部の狭窄・異物・不快感を主訴とし,古来より知られた疾患であるが,診断や治療に難渋することがある.近年ではGERDとの関係が注目されており,その病態のひとつと捉えPPIによる治療を行い有効であったという報告もあるが,改善率はGERDに対するものより低く,難治例も経験する.今回我々は,咽喉頭異常感を主訴に当院を受診され,咽喉頭領域の器質的疾患がない患者にPPIを投与しその有効性を検討したので報告する.
【方法】2009年4月から2012年3月までの間に耳鼻咽喉科をのどの違和感を主訴に受診し器質的疾患の存在を否定された患者(L群)を対象とし,また同時期に内科を胸やけ症状にて受診した患者(G群)と比較した.両群とも全例上部消化管内視鏡検査を行い,GERD以外の疾患が否定されたそれぞれ27名,33名に対してPPIを4週間投与し,前後での症状の変化をF-SCALE問診表で,投与後の症状の強さをVAS(0-10)にて評価を行った.
【結果】PPIの投与による患者の治療に対する症状はVASにてL群4.0,G群2.9と改善し有効性が示された.F-SCALEでは投与前の運動不全症状のスコアに両群間で有意差は見られなかったが,酸逆流症状では質問項目の7番ののどの違和感および9番のつかえ感のみL群が有意に高く,10番で同等のほか,他の項目ではG群が有意に高かった.PPI投与前後の評価ではL群では逆流症状の総計は有意に改善していたが(7.6vs4.4),L群の受診動機である7番では有意な改善が見られなかった(2.5vs1.9).G群では7番,9番の症状の改善に有意差は見られなかったが,他の逆流症状スコアはすべて改善していた.運動不全症状は両群とも改善が見られた.
【考察】咽喉頭異常感症を主訴にする患者はF-SCALEにてGERD患者と同等の酸逆流および運動不全症状があり,PPIにより一定の治療効果があることが示されたが,受診動機である咽頭違和感に対する有効性は4週間のPPI投与では低いことが示され,さらなる治療の検討が必要であると考えられた.
索引用語