セッション情報 ポスター

小腸 症例(腫瘍)

タイトル P-313:

成人腸重積症にて発症した小腸平滑筋肉腫の1例

演者 岸根 健二(東京都保健医療公社東部地域病院外科)
共同演者 武田 武文(東京都保健医療公社東部地域病院外科), 大久保 悟志(東京都保健医療公社東部地域病院外科), 佐藤 剛(東京都保健医療公社東部地域病院外科), 内藤 滋俊(東京都保健医療公社東部地域病院外科), 吉野 耕平(東京都保健医療公社東部地域病院外科), 中谷 晃典(東京都保健医療公社東部地域病院外科), 北島 政幸(東京都保健医療公社東部地域病院外科), 渡部 智雄(東京都保健医療公社東部地域病院外科), 落合 匠(東京都保健医療公社東部地域病院外科), 西村 和彦(東京都保健医療公社東部地域病院外科), 二川 俊二(東京都保健医療公社東部地域病院外科), 折笠 英紀(東京都保健医療公社東部地域病院検査科)
抄録 小腸平滑筋肉腫は,免疫染色による組織学的検査で,消化管間葉系腫瘍の分類が確立した現在では比較的稀な疾患である.今回,我々は成人腸重積症にて発症した小腸平滑筋肉腫の1例を経験したので報告する.症例は72歳,男性.3週間前頃から腹部全体に間欠的な疼痛を主訴に近医受診.腹部CT検査を施行.成人腸重積の診断で当院紹介受診となった.腹部CT所見では,回腸にtarget signを呈し,その口側腸管の拡張を認めたが,明らかな血流障害は認められず,準緊急に手術を施行した.下腹部正中切開で開腹すると,回盲弁から約60 cm口側の回腸に約10cmにわたる順行性腸重積を認めた.先進部に直径約5 cm大の腫瘤性病変を触知したため,腫瘤を含む約20 cmの小腸部分切除術を施行した.切除標本の病理組織学的所見では,粘膜下層を中心に大型の紡錐形細胞の増殖を認め,一部多形性を示していた.免疫染色検査ではαSMAおよびdesminが陽性,c-KIT・CD34・S-100蛋白・DOG1がそれぞれ陰性で小腸平滑筋肉腫と診断した.術後第11日目に軽快退院し,現在外来にて経過観察中である.小腸悪性腫瘍は消化管悪性腫瘍の0.4-2.3%と比較的稀で,腺癌が最も多く次いでカルチノイド,悪性リンパ腫,間葉系腫瘍の順とされる.以前は間葉系腫瘍の約30%が小腸平滑筋肉腫と報告されていたが,近年では,WHOにより免疫染色にてc-KIT陰性かつαSMA・desminのいずれかが陽性のものが小腸平滑筋肉腫と定義されており,その頻度は間葉系腫瘍の1.1-3%と極めて稀な疾患である.医中誌にて検索し得た範囲では,WHOによる小腸平滑筋肉腫の定義がなされた1999年~2013年の15年間に,免疫染色を用いて小腸平滑筋肉腫と診断された症例は6例のみであった.今回,我々は腸重積にて発症した小腸平滑筋肉腫の一例を経験したので,若干の考察を加え報告する.
索引用語