セッション情報 ポスター

小腸 症例(腫瘍)

タイトル P-314:

小腸GISTによる非膵島細胞腫瘍誘発低血糖の1症例

演者 徳山 信行(東京警察病院消化器科)
共同演者 松原 三郎(東京警察病院消化器科), 中田 和智子(東京警察病院消化器科), 須山 由紀(東京警察病院消化器科), 鈴木 剛(東京警察病院消化器科), 小椋 啓司(東京警察病院消化器科)
抄録 【症例】90歳男性【現病歴】不眠症,慢性胃炎,高血圧で当院に通院していた.2012年7月に左下腹部違和感に対し造影CT検査施行したところ,近位空腸付近に強い造影効果を認める8cm大の腫瘤を認め,腹腔内に播種結節を多数認めた.小腸癌,GIST,異所性膵癌などが疑われた.他院でのカプセル内視鏡では,壁外圧迫の所見のみを認めた.高齢でもあり,さらなる精査は希望されず経過観察としていたが,同年10月,11月と低血糖発作で2回救急搬送されたため,低血糖の原因の精査と腫瘍の診断確定のため,11月6日入院となった.血液検査では,インスリノーマや下垂体,副腎等の内分泌疾患は否定的であった.11月13日,近医空腸の腫瘤に対して超音波内視鏡下穿刺吸引術(EUS-FNA)施行.紡錐形細胞腫瘍で,免疫染色にてC-KIT陽性,CD34・αSMA・Desmin・S100陰性であり,GISTと診断した.またinsulin-like growth factor-2(IGF-2)免疫染色が陽性であり,IGF-2産生GISTによる低血糖発作と診断した.ステロイド内服と夜間の補食を行ったが,低血糖発作のコントロールは十分ではなかった.11月25日よりイマチニブ開始した.その結果低血糖の改善を認めたため,退院となった.2013年7月のCTでは腫瘍は縮小しており,低血糖発作も起こさず経過観察中である.【考察】小腸GISTが産生するIGF-2により非膵島細胞腫瘍誘発低血糖発作を繰り返していた症例.EUS-FNA検体の免疫染色でIGF-2産生を直接証明することができた.示唆に富む症例であり,文献的考察を交えて報告する.
索引用語