セッション情報 ポスター

大腸 腫瘍 症例4

タイトル P-322:

腹腔鏡補助下切除術を施行したS状結腸神経鞘腫の1例

演者 武智 晶彦(東海大学東京病院外科)
共同演者 千野 修(東海大学東京病院外科), 中村 知己(東海大学東京病院外科), 田中 洋一(東海大学東京病院外科), 近藤 泰理(東海大学東京病院外科), 幕内 博康(東海大学東京病院外科)
抄録 大腸に発生する神経鞘腫は稀である.今回,我々はS状結腸に発生した神経鞘腫の1例を経験した.患者は74歳男性.2002年12月に胃癌に対し幽門側胃切除術を施行している.1年後の上部内視鏡検査で早期食道癌を指摘され,EMRを施行した.この際に下部内視鏡検査を施行したところ,S状結腸に約1cm大の粘膜下腫瘍を認めた.以降年1回の下部内視鏡検査を施行し経過観察していた.この間患者は右肺癌を発症しVATSにて右肺上葉切除術を施行している.粘膜下腫瘍はサイズ,形態ともに2012年まで著変なかったが,2013年の下部内視鏡検査で,サイズが約3cm大と増大傾向を認めたため手術となった.手術は腹腔鏡補助下S状結腸部分切除術を施行した.術前に組織学的診断はなされていなかったが,内視鏡所見及び術中所見より良性腫瘍の可能性が高いと判断し,リンパ節郭清は施行していない.術後腸閉塞をきたし入院期間はやや長くなってしまったが,第30病日に退院となっている.切除腫瘍のサイズは20×25mm大で,表面を正常粘膜で完全に被覆された充実性腫瘍であった.病理組織学的所見ではspindle cellを認め,免疫染色にてSMA(-),CD31(-),CD34(-),c-kit(-),D2-40(+),Desmin(-),S-100(+),Ki-67陽性率 約10%を示し,神経鞘腫と診断された.大腸原発神経鞘腫は稀であり,またその多くが良性腫瘍として報告されており,予後良好の疾患である.ただし結腸悪性神経鞘腫の報告もあり,また大腸粘膜下腫瘍の鑑別診断としてカルチノイドやGISTも挙げられ,手術による病理組織学的診断が重要と考えられた.若干の文献的考察を加えて報告する.
索引用語