セッション情報 ポスター

大腸 腫瘍 症例4

タイトル P-323:

腸重積により発症し,腹腔鏡下に切除した横行結腸平滑筋肉腫の1例

演者 三輪 武史(済生会富山病院外科)
共同演者 坂東 正(済生会富山病院外科), 湯口 卓(済生会富山病院外科), 清水 哲朗(済生会富山病院外科), 塚田 一博(富山大学大学院消化器・腫瘍・総合外科), 井村 穣二(富山大学大学院病理診断学講座)
抄録 【はじめに】KITによるGISTの診断が確立されてから,それまで大腸平滑筋肉腫とされていた症例の大半がGISTであったと報告されるようになり,以降大腸平滑筋肉腫の報告は減少した.また平滑筋肉腫には有効な化学療法が確立されておらず,治療は手術による完全切除が原則とされている.今回われわれは,腸重積により発症し,腹腔鏡下に切除した横行結腸平滑筋肉腫の1例を経験したので,文献的考察を加えて報告する.【症例】症例は59歳,女性.3ヶ月前より繰り返す右上腹部痛,便秘および下痢を認め,当院内科を受診した.腹部CT検査で横行結腸の腸重積と診断され入院,絶食加療となった.重積は自然に解除したが,下部消化管内視鏡検査で横行結腸に3cm大の粘膜下腫瘍を認め,生検で間葉系腫瘍と診断された.横行結腸間葉系腫瘍の診断で手術の方針となり,腹腔鏡補助下横行結腸部分切除術(D1)を施行した.術中所見では横行結腸中程に腫瘍を認め,口側結腸に軽度の璧肥厚を認めるものの,重積は認めなかった.標本肉眼所見では腫瘍は3.5cm×3.2cmで表面に潰瘍を伴う広基性の粘膜下腫瘍で内部は乳白色充実性であった.病理組織学的検査では好酸性の胞体を有する紡錘形細胞が錯綜する配列を認め,免疫組織化学染色でc-kit(-),CD34(-),DOG-1(-),SMA(+),EMA(+)であったことから平滑筋肉腫と診断された.術後経過良好で9日目に退院し,外来にて経過観察中である.【結語】腸重積を来した横行結腸平滑筋肉腫の1例を経験した.腫瘍の局在やサイズを考慮する必要はあるものの,腹腔鏡下手術も安全に施行可能であった.
索引用語