セッション情報 ポスター

腸炎その他1 症例

タイトル P-327:

GVHD腸炎の4例

演者 島村 勇人(聖路加国際病院消化器内科)
共同演者 池谷 敬(聖路加国際病院消化器内科), 中野 薫(聖路加国際病院消化器内科), 高木 浩一(聖路加国際病院消化器内科), 中村 健二(聖路加国際病院消化器内科), 石井 直樹(聖路加国際病院消化器内科), 福田 勝之(聖路加国際病院消化器内科), 森 愼一郎(聖路加国際病院血液腫瘍科), 藤田 善幸(聖路加国際病院消化器内科)
抄録 【はじめに】消化管GVHD(移植片対宿主病)は骨髄移植後の併発症であり,水様性または血性下痢,腹痛や悪心・嘔吐を呈する.内視鏡では多彩な所見を呈し,診断には病理学的検査を要する.2002年から2013年までに4例のGVHD腸炎を経験したので報告する.【症例1】54歳男性.急性骨髄性白血病に対して臍帯血移植を施行.移植後120日に嘔吐,下痢が出現したため入院し,上部内視鏡(EGD)および大腸内視鏡(CS)を施行した.EGDでは異常なく,CSで回腸末端に褪色調領域を認め,盲腸から上行結腸かけて粘膜発赤を伴う隆起性病変を散見した.病理学的所見よりGVHD腸炎と診断した.また,腹部CT検査では盲腸から上行結腸にかけて全域にわたり粘膜下層を中心に壁肥厚を認めた.治療抵抗性であり,GVHD腸炎を契機に敗血症,多臓器不全を起こし死亡した.剖検でも同部位に粘膜下層まで出血壊死を認め,GVHD腸炎を確認した.【症例2】20歳女性.重症再生不良性貧血に対して骨髄移植を施行.移植後72日より嘔吐,下痢が出現したためCS施行した.下行結腸まで観察し,連続性に粘膜発赤,浮腫を認めた.病理学的所見よりGVHD腸炎と診断.【症例3】9歳女児.急性骨髄性白血病に対して臍帯血移植を施行.移植後34日に嘔吐が出現したため,EGD及びCS施行した.EGDでは前庭部,十二指腸球部に発赤あり,CSでは脾彎曲部とS状結腸に粗造な粘膜を認めた.病理学的所見よりGVHD腸炎と診断した.【症例4】6歳女児.小脳髄芽腫に対して自家末梢血幹細胞移植を施行.移植後45日より腹痛,下痢,血便が出現.腸閉塞も併発したため移植後150日に試験開腹術を施行.術中内視鏡では回腸に多発潰瘍と高度狭窄を認めた.病理学的所見よりGVHD腸炎と診断した.【結語】小児例を含め4例に内視鏡を施行した.多彩な内視鏡所見を呈していたが,病理所見を加えることにより診断が可能で治療方針の決定に有用であった.
索引用語