セッション情報 ポスター

腸炎その他1 症例

タイトル P-328:

憩室症の経過観察中に狭窄症状を来したdiverticular colitisの一切除例

演者 松村 辰彦(徳島県鳴門病院)
共同演者 尾方 信也(徳島県鳴門病院外科), 豊田 剛(徳島県鳴門病院外科), 田上 誉史(徳島県鳴門病院外科), 大塚 加奈子(徳島県鳴門病院内科), 宮城 順子(徳島県鳴門病院内科), 増田 和彦(徳島県鳴門病院内科), 木村 哲也(徳島県鳴門病院), 坂東 儀昭(徳島県鳴門病院外科)
抄録 大腸憩室に伴う炎症性疾患のほとんどは憩室炎であり,憩室とその周囲に発生する.しかし,憩室周辺の粘膜に炎症性腸疾患に類似した粘膜所見を伴う症例があり,欧米では,このような大腸憩室に随伴する炎症性変化に対してdiverticular colitisという名称が提唱されている.今回我々は,憩室症の経過観察中に狭窄症状を来したdiverticular colitisの一切除例を経験したので報告する.【症例】60代女性.主訴:下血,腹痛.現病歴:5年前,2年前に大腸憩室炎で入院歴有り.抗生剤投与による保存的加療により軽快した.直近の入院時にはイレウス症状有り,イレウスチューブ留置を要した.1月前に下血あり,下痢,腹痛も出現し当院内科受診.憩室炎による腸閉塞と診断され入院.絶食による保存的治療を開始したが,軽快せず,経肛門的イレウスチューブ挿入され,手術適応検討のため当科へ紹介された.下部消化管内視鏡所見:肛門縁から30cmのS状結腸に狭窄有り,粘膜は浮腫状で,血液や膿の付着を認めた.腹部CT所見:直腸からS状結腸近位部まで壁肥厚を認め,S状結腸には憩室を多数認めた.これより口側の結腸は拡張して,大量の残渣有り.以上から狭窄症状を呈するS状結腸憩室炎と診断し,S状結腸切除術を施行した.S状結腸には多数の憩室を認め,約20cmにわたり壁硬化を認めたが,腹壁や他臓器との癒着は認めなかった.約30cmのS状結腸を切除した.病理組織所見:漿膜面には多数の憩室を認め,約20cmにわたり分節状に浮腫を認めた.びまん性の非特異的慢性炎症像が粘膜層主体に一部粘膜下層まで及んでおり,腺配列の乱れや腺管の捻れ,陰窩膿瘍を認め,basal plasmacytosisもあり,潰瘍性大腸炎様の組織所見であった.医中誌でdiverticular colitisのキーワードで検索したところ,本邦報告例は4例目であり,切除例としては本邦初報告例であった.
索引用語