セッション情報 ポスター

腸炎その他2 症例

タイトル P-330:

当院にて経験した腸管スピロヘータ症に関する検討

演者 平石 哲也(川崎市立多摩病院消化器肝臓内科)
共同演者 川島 亜貴世(川崎市立多摩病院消化器肝臓内科), 北川 紗里香(川崎市立多摩病院消化器肝臓内科), 田村 知大(川崎市立多摩病院消化器肝臓内科), 黄 世揚(川崎市立多摩病院消化器肝臓内科), 福田 安伸(川崎市立多摩病院消化器肝臓内科), 馬場 哲(川崎市立多摩病院消化器肝臓内科), 鈴木 通博(川崎市立多摩病院消化器肝臓内科), 伊東 文生(聖マリアンナ医科大学消化器肝臓内科)
抄録 【背景】腸管スピロヘータ症はBrachyspira属グラム陰性桿菌を原因とする人畜共通感染症である.感染経路は主に経口感染と推測されているが臨床症状を呈する例は少ない.今回我々は当院にて経験した腸管スピロヘータ症4例について検討した.【方法】2010年4月より2013年2月までに当院にて大腸内視鏡検査(CS)を施行し生検にて診断された症例を対象とした.【結果】年齢は51.5±14.5歳,基礎疾患や服薬歴は脳梗塞によるチクロピジン服用の1例以外特記するものはなかった.無症状例は2例,有症状例は2例であった.前者はいずれも大腸ポリープのEMR検体及び多発びらんの生検検体から発見された例であった.後者はともに肉眼的血便が認められた.1例目は直腸から連続する大腸粘膜の炎症を認め,臨床症状から潰瘍性大腸炎と診断された.メサラジン注腸にて症状寛解が得られていたが,経過観察のCSで残存するびらんよりスピロヘータ菌体が発見された.2例目は初回CSにて直腸炎を認め,S状結腸や回盲部にも炎症が散在していた.その後無治療で症状は軽快したが約6ヵ月に症状再燃があり,CSにて直腸,S状結腸,回盲部のびらんよりスピロヘータ菌体が発見された.メトロニダゾール750mgを10日間投与したところ症状は軽快し約6ヵ月後に施行したCSではびらんは残存するも生検検体からスピロヘータは検出されなかった.いずれも初回内視鏡時の培養検査から特異的な細菌・寄生虫は同定されていない.【考案・結語】腸管スピロヘータは無症状例が多く病原性との因果関係は不明であるが,内視鏡所見上,大腸炎と診断されているものの中には腸管スピロヘータ症が潜んでいる可能性があり,炎症所見が持続している場合は本症を疑い生検診断をする事が必要と思われた.臨床症状を有する症例でスピロヘータが検出された場合には,病原性を考慮したメトロニダゾール投与が効果的な可能性が考えられた.
索引用語