セッション情報 ポスター

腸炎その他2 症例

タイトル P-333:

下血を伴ったEdwardsiella tarda腸炎の一例

演者 東 俊太朗(国立病院機構長崎医療センター消化管内科)
共同演者 塩田 純也(国立病院機構長崎医療センター消化管内科), 成田 翔平(国立病院機構長崎医療センター消化管内科), 荻原 久美(国立病院機構長崎医療センター消化管内科), 村田 朋哉(国立病院機構長崎医療センター消化管内科), 後藤 高介(国立病院機構長崎医療センター消化管内科), 西山 仁(国立病院機構長崎医療センター消化管内科)
抄録 Edwardsiella tarda(以降E.tarda)は自然界に広く存在するグラム陰性桿菌でありヘビやカメなどの爬虫類,両生類の腸内常在菌であるが,ヒトの常在菌ではない.ヒトへの感染はごく稀に報告されており症状としては比較的軽症の胃腸炎症状を来すものが多いとされる.しかし敗血症例では死亡率は約40-55%と非常に高く,また炎症性腸疾患の増悪原因になったと考えられる例も報告されている.症例は54歳,女性.当院受診3日前から心窩部痛が出現し徐々に増強し嘔気も出現した.市販の胃薬を内服するも心窩部痛増悪,また1日7回程度の下痢が持続し下血を認めるようになったため当院救急外来を受診した.診察にて心窩部~右下腹部に圧痛あり,血液検査では軽度の炎症所見を認めCTで上行結腸から下行結腸にかけて腸管壁肥厚を認めた.前処置なしでの大腸内視鏡検査では上行結腸~S状結腸主体の粘膜発赤,浮腫,うっ血を認めたが肉眼的に直腸粘膜病変は明らかではなかった.入院時の便培養ではEdwardsiella tardaが陽性であり腸炎の原因と考えられた.抗菌薬投与を5日間行い経過良好にて入院後第9日目で退院となった.今回,我々は下血を伴う腸炎の原因としてE.tardaが起因菌として同定された非常に稀な症例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する.
索引用語