セッション情報 ポスター

大腸癌3

タイトル P-349:

大腸癌におけるEGFR発現の意義と抗EGFR抗体薬に対する感受性の検討

演者 岡田 泰行(徳島大学ヘルスバイオサイエンス研究部消化器内科学)
共同演者 宮本 弘志(徳島大学ヘルスバイオサイエンス研究部消化器内科学), 高山 哲治(徳島大学ヘルスバイオサイエンス研究部消化器内科学)
抄録 【背景・目的】大腸癌細胞では,しばしば上皮成長因子受容体(epidermal growth factor receptor:EGFR)が過剰発現し,自ら産生・分泌するTGF-αがEGFRに結合して細胞増殖をきたす(オートクライン)ことが知られている.そのため,EGFR下流のKRAS遺伝子野生型の大腸癌では,抗EGFR抗体薬(cetuximabやpanitumumab)が標準治療として用いられている.しかし,これらの抗体薬の効果はKRAS野生型大腸癌においてもまちまちであり,効果を予測する適切なバイオマーカーは存在しない.そこで本研究では,培養大腸癌細胞を用いて,cetuximabの抗腫瘍効果とEGFR発現との関係を調べるとともに,EGFR発現の経時的変化を検討した.次いで,抗EGFR抗体薬を投与した大腸癌症例を対象に,EGFR発現と有効性との関係を検討した.【方法】(1)6種類のKRAS野生型大腸癌細胞株(CoCM-1,CCK-81,Caco2,HCA-7,HCA-46,LIM-1215)を用いて,抗EGFR抗体薬cetuximabのin vitroにおける細胞増殖抑制効果を検討した.各細胞に発現するEGFR数は,フローサイトメーターにより測定した.(2)cetuximabまたはpanitumumabを使用した切除不能進行再発大腸癌症例を対象に,治療前後のERGF発現を免疫染色にて比較した.【結果】(1)6種類の大腸癌細胞は,いずれもcetuximabによる増殖抑制効果を認めたが,cetuximab処理前のEGFR数が多い細胞ほど高い抗腫瘍効果を認めた.cetuximab処理後のEGFR数はいずれも減少したが,その減少率の高い細胞ほど高い抗腫瘍効果を認めた.(2)治療前のEGFR染色で染まった大腸癌症例ほどcetuximabやpanitumumabが高い有効性を示す傾向が示唆された.【結語】KRAS,BRAF,EGFR野生型大腸癌においては,EGFR発現が高いほど抗EGFR抗体薬の治療効果が高いことが示唆された.また治療後にEGFRの発現が低下する症例ほど有効性が高いことが示唆された.
索引用語