セッション情報 ポスター

HCC-3 その他

タイトル P-352:

多施設共同研究による進行肝癌の特徴についての検討

演者 田浦 直太(長崎大学病院消化器内科)
共同演者 市川 辰樹(長崎大学病院消化器内科), 中尾 一彦(長崎大学病院消化器内科)
抄録 【目的】近年,肝癌症例は,高齢化,非肝炎ウイルス関連肝癌症例の増加,耐糖能異常,肥満症例の増加など背景因子に大きな変化がみられ,初発進行肝癌の特徴も変化しつつあると考えられる.しかし,進行肝癌における背景の詳細,積極的治療が可能な症例の頻度は明らかでない.本研究では,進行肝癌の特徴,更に積極的治療可能な症例の頻度について検討を行った.【対象】1999年より2012年までの期間,当院関連施設において肝癌と診断された3,421例を対象とした.診断時画像検査を元に肝外臓器への転移もしくは脈管浸潤を伴う症例を進行肝癌と規定し検討を行った.【結果】本研究における進行肝癌症例は556例(16%),非進行肝癌症例2,865例(84%)であった.腫瘍因子を除く,背景因子について,進行肝癌に寄与する因子についてロジスティック回帰分析による多変量解析を行った.性別(男性;p=0.008 HR1.50),肝炎ウイルス(HCV vs. HBV;p=<0.001 HR3.07,非B非C;p=<0.001 HR2.40),Child-Pugh grade(A vs. B;p=0.001 HR1.80,C;p=<0.001 HR3.72),アルブミン値(=>3.7g/dl:p=0.001 HR1.60),ALT値(=>44IU/l:p=<0.001 HR1.84),血小板数(<11万/μl:p=<0.001 HR0.24)であった.さらに,進行肝癌556症例中,85歳未満,Child-Pugh grade Aを積極的治療群と定義し検討した.積極的治療群は,438例であり,非肝外転移症例359例(82%),肝外転移症例は79症例(18%)であった.積極的治療群の治療内容は,外科的切除60例(14%),TACE/TAI164例(37%),化学療法46例(10%),放射線治療3例(1%),BSC44例(10%)であった.【結論】進行肝癌症例の特徴は,B型関連肝癌,非B非C肝癌,Child-Pugh grade B以上が多く,ALT及び血小板数が高値な症例であった.進行肝癌は,肝予備能が不良な症例が多くみられるも,78%(556例中438例)は,積極的治療の適応であった.また,進行肝癌症例に対し,外科,内科,放射線科による治療が行われており,各科の連携が重要と考えられた.
索引用語