セッション情報 ポスター

HCC-3 その他

タイトル P-353:

B型肝炎ウイルス・C型肝炎ウイルス共感染肝細胞癌患者の予後

演者 大木 隆正(三井記念病院消化器内科)
共同演者 佐藤 公紀(三井記念病院消化器内科), 早田 有希(三井記念病院消化器内科), 唐澤 祐輝(三井記念病院消化器内科), 宮林 真未奈(三井記念病院消化器内科), 川西 幸貴(三井記念病院消化器内科), 山上 まり(三井記念病院消化器内科), 山田 友春(三井記念病院消化器内科), 小島 健太郎(三井記念病院消化器内科), 有住 俊彦(三井記念病院消化器内科), 関 道治(三井記念病院消化器内科), 戸田 信夫(三井記念病院消化器内科), 塩田 吉宣(医療法人SHIODA), 田川 一海(三井記念病院消化器内科)
抄録 【目的】本邦では,B型肝炎ウイルス(HBV)・C型肝炎ウイルス(HCV)の共感染を有する肝細胞癌(HCC)患者は比較的稀である.今回我々は,dual infected HCC患者の特徴および予後に関して,HBV-HCC患者,HCV-HCC患者を比較対象として検討した.【方法】1984年4月から2011年12月までに当科で内科的治療(経皮的局所療法ないし肝動脈塞栓術)を行った初発のHCC患者936例を母数として抽出した.最終的には,nBnC-HCC患者130例を除き,dual-infected HCC患者11例,HBV-HCC患者82例,HCV-HCC患者713例の3群,合計806例を解析対象とした.各群の患者背景,累積生存率,生存に寄与する因子ついて検討した.【結果】患者背景においては,AST値(dual-infected HCC 25 IU/L,HBV-HCC 31 IU/L,HCV-HCC 50 IU/L,P<0.01),ALT値(dual-infected HCC 71 IU/L,HBV-HCC 52 IU/L,HCV-HCC 71 IU/L,P<0.01),Child-Pugh A(dual-infected HCC 10例[91%],HBV-HCC 65例[79%],HCV-HCC 532例[73%],P<0.01),AFP>100 ng/mL(dual-infected HCC 1例[9%],HBV-HCC 32例[39%],HCV-HCC 192例[27%],P=0.03)と有意差を認めた.その他の肝機能に関わる因子,腫瘍に関わる因子については3群間で有意差を認めなかった.累積生存率は,それぞれdual-infected HCC群3年78.7%,5年65.6%,HBV-HCC群3年59.3%,5年34.9%,HCV-HCC群,65.3%,5年43.9%であり3群間で有意差を認めなかった(P=0.15).生存に寄与する因子について多変量解析を行ったところ,症例数が少ないこともありHBV・HCVの共感染は生存に寄与する有意な因子としては抽出されなかった.【結語】dual-infected HCC患者は,初発のHCC患者のわずか1.2%であり,比較的まれであることがわかった.危惧された共感染に伴う肝機能の低下は認められず,HCCの予後もその他のHCC患者と同様であった.
索引用語