セッション情報 ポスター

HCC-4 外科/動注

タイトル P-356:

高度進行肝細胞癌の集学的治療としての術前肝動注化学療法と肝切除

演者 工藤 篤(東京医科歯科大学肝胆膵・総合外科学)
共同演者 伴 大輔(東京医科歯科大学肝胆膵・総合外科学), 松村 聡(東京医科歯科大学肝胆膵・総合外科学), 入江 工(東京医科歯科大学肝胆膵・総合外科学), 落合 高徳(東京医科歯科大学肝胆膵・総合外科学), 中村 典明(東京医科歯科大学肝胆膵・総合外科学), 田中 真二(東京医科歯科大学肝胆膵・総合外科学), 田邉 稔(東京医科歯科大学肝胆膵・総合外科学)
抄録 【背景と目的】肝細胞癌において全生存率を考慮する際には,集学的治療の一環としての肝切除の意義は未確立である.【対象】2000年4月から2013年3月までの肝細胞癌に対する手術600例中,RFA施行後が55例,TAE施行後が77例,RFA+TAE後が17例,術前補助化学療法は25例,重粒子線治療2例であった.切除不能にて肝動注化学療法を施行した後に根治手術を施行し得たのは15例であり,Neoadjuvant(NA)は全部で22例行った.【結果】初回手術不能理由は高度脈管侵襲が11例と最も多く,ほか肝内多発や巨大腫瘍であった.動注薬剤は5-FU単剤が12例,CDDP単剤が1例,FPが2例,IFN併用が13例であった.動注施行期間は平均4.3クールであった.手術時平均年齢は61.1歳,男性が13例で,HCV肝炎,HBV肝炎ともに6例ずつであった.術式は葉切除以上5例,区域切除5例,亜区域・部分切除2例,副腎切除3例であった.術後平均観察期間は26.6か月で,術後生存期間中央値は28.1か月,術後1,3年生存率が92%,31%であった.一方,22例のNA群は術後1年,3年,5年生存率が82%,36%,22%であり,非NA群の85%,65%,50%に比べて明らかに生存率が低かったが(P=0.010),NA群は若く,HBV感染が多く,AFPが高く,多発で,胆管腫瘍栓が多く,Propensity score(PS)は明らかに低かった(P<0.0001).この比較は各群の背景因子を考慮せず適正化するため,PS解析モデルを構築し,再比較した.このモデルは各群22例であり,NA群を予想する確率が0.776(P<0.0001)であった.両群の背景因子,PSに差を認めなかった(P=1.000).NA群の術後1年,3年,5年生存率は,非NA群の73%,44%,29%と差を認めなかった(P=0.874).【考察】NAの介入によって生存率は不変であった.NA群が高度進行癌で切除不能であったことを考慮すると,肝切除や肝動注化学療法を含めた集学的治療の意義は高いと結論できる.
索引用語