セッション情報 ポスター

HCC-4 外科/動注

タイトル P-357:

遠隔転移を伴った進行肝細胞癌における原発巣,転移巣に対する外科的治療の役割

演者 種村 彰洋(三重大学肝胆膵・移植外科)
共同演者 水野 修吾(三重大学肝胆膵・移植外科), 奥田 善大(三重大学肝胆膵・移植外科), 村田 泰洋(三重大学肝胆膵・移植外科), 栗山 直久(三重大学肝胆膵・移植外科), 安積 良紀(三重大学肝胆膵・移植外科), 岸和田 昌之(三重大学肝胆膵・移植外科), 臼井 正信(三重大学肝胆膵・移植外科), 櫻井 洋至(三重大学肝胆膵・移植外科), 田端 正己(三重大学肝胆膵・移植外科), 伊佐地 秀司(三重大学肝胆膵・移植外科)
抄録 【はじめに】近年我々は,遠隔転移を有する肝細胞癌に対しても,他の集学的治療を組み合わせることで外科的切除による腫瘍の局所制御を積極的に行っている.今回同時性,または異時性に遠隔転移を伴った肝細胞癌に対する外科的切除の有用性について検討した.【対象と方法】2009年1月から2013年10月までの間に,同時性の遠隔転移を有する肝細胞癌に対し主腫瘍の切除を行った6例(A群),異時性の遠隔転移に対し転移巣の切除を行った7例(B群)について検討を行った.【結果】A群において遠隔転移部位は肺3例,副腎1例,副腎+椎体1例,リンパ節1例であった.腫瘍径は平均12.1cm(10.5-16)であった.症例1は肝切除後,肺転移切除,ソラフェニブ,ブリバニブ投与を行い術後3年1カ月で肺転移破裂のため死亡した.症例2は肝内再発に対しTACEを繰り返し32カ月生存中である.症例3は肺転移に対しソラフェニブ投与,HAICを行い術後28カ月無増悪生存中である.症例4は術後ソラフェニブ投与,副腎転移に対しTACE,椎体転移に対し凍結療法を行い13カ月生存中である.症例5,6は残肝再発のため術後8カ月,2カ月で死亡した.A群6例の2年生存率は66.7%であった.B群において遠隔転移部位はリンパ節5例(縦隔内1例,胃大湾2例,膵頭後面1例,傍大動脈1例),副腎2例であった.膵頭後面リンパ節転移症例に対しては膵頭十二指腸切除が行われた.初回肝癌治療から転移巣切除までの期間は平均で36カ月(2-108カ月)であった.ソラフェニブを術前に2例,術後に5例使用した.B群7例の転移巣切除後からの1年生存率は53.3%であった.【まとめ】同時性,異時性の遠隔転移を伴う肝癌症例に対し,局所制御のための原発巣,または転移巣切除は,他の集学的治療と組み合わることで予後の改善を期待できると考えられた.
索引用語