セッション情報 | ポスターHCC-4 外科/動注 |
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タイトル | P-358:脈管浸潤合併進行肝細胞癌に対する治療戦略 |
演者 | 守屋 圭(奈良県立医科大学第三内科(消化器・内分泌代謝内科)) |
共同演者 | 吉治 仁志(奈良県立医科大学第三内科(消化器・内分泌代謝内科)), 堂原 彰敏(奈良県立医科大学第三内科(消化器・内分泌代謝内科)), 浪崎 正(奈良県立医科大学第三内科(消化器・内分泌代謝内科)), 相原 洋祐(奈良県立医科大学第三内科(消化器・内分泌代謝内科)), 野口 隆一(奈良県立医科大学第三内科(消化器・内分泌代謝内科)), 上嶋 昌和(奈良県立医科大学第三内科(消化器・内分泌代謝内科)), 福井 博(奈良県立医科大学第三内科(消化器・内分泌代謝内科)) |
抄録 | 【目的】我々はこれまで進行肝細胞癌(aHCC)に対して積極的に肝動注化学療法(HAIC)を実施することで予後改善が期待できること,またこの際の肝予備能低下ゆえに後日のソラフェニブ(SORA)投与が困難になる可能性を過度に意識する必要がないことを報告した.今回は脈管浸潤を合併したaHCC(V(+)aHCC)に限定して,放射線治療(RT)を含めたHAICおよびSORAの治療選択と成績を分析し,aHCCの集学的治療のあり方について考える.【方法】SORA適正使用指針作成後に当科で診断した肝細胞癌患者326例のうち,Stage III以上のV(+)aHCCについて,HAIC単独治療例(H群:男/女:4/1;年齢中央値62歳),SORA単独治療例(S群:男/女:2/1;同67歳),HAIC先行後SORA治療例(HS群:男/女:5/1;同67歳)に分けて,治療効果,合併症,予後など種々の項目について比較検討を行った.【成績】治療開始1ヶ月以降のModified RECIST Best responseで判定した治療効果(CR/PR/SD/PD)は,H群0/1/2/2,S群0/1/1/1,HS群1/1/4/0であった.各群の治療継続可能期間および中央生存期間(MST)は,H群411/663,S群249/249,HS群409/615(日)であり,HおよびHS群に比しS群で有意に短かった.H群全体におけるRT併用効果は明らかでなかったが,肝静脈浸潤(Vv)2症例のMSTはRT併用により1036日と著明に延長した.eGFR(mL/分/1.73m2)を指標とする腎機能は各群とも治療前後で変化せず,肝予備能に関しては,H群では治療前後でChild-Pughスコアが不変であったが,S群では治療後に平均1.1点増悪した(p<0.05).各治療法の中止理由はH群では腫瘍増大(PD)が中心であったが(90%),S群ではPD(71%)に加えて全身状態悪化や食欲不振といった身体的有害事象が約1/3(29%)を占めた.【結論】aHCCの治療において,HAICは脈管浸潤例においても肝予備能を低下させずに奏効する可能性があり,肝静脈浸潤例に対してはRT併用により予後改善が期待できると思われた. |
索引用語 |