セッション情報 ポスター

HCC-4 外科/動注

タイトル P-359:

当院における門脈腫瘍栓を伴った進行肝細胞癌に対する動注化学療法の検討

演者 吉益 悠(戸田中央総合病院消化器内科)
共同演者 青木 勇樹(戸田中央総合病院消化器内科), 山本 健治郎(戸田中央総合病院消化器内科), 竹内 啓人(戸田中央総合病院消化器内科), 永谷 菜穂(戸田中央総合病院消化器内科), 竹内 眞美(戸田中央総合病院消化器内科), 田中 麗奈(戸田中央総合病院消化器内科), 羽山 弥毅(戸田中央総合病院消化器内科), 山田 昌彦(戸田中央総合病院消化器内科), 堀部 俊哉(戸田中央総合病院消化器内科), 原田 容治(戸田中央総合病院消化器内科), 市村 茂輝(三愛クリニック)
抄録 【目的】肝細胞癌は,診断・治療の進歩とともに予後の改善を認めてきたが,門脈浸潤を認める肝細胞癌の予後については良好な成績とはいえない.また遠隔転移や脈管浸潤を伴う肝細胞癌に対しては,分子標的であるソラフェニブが治療の選択肢の一つになり得るが,肝機能の比較的良好な症例のみに適応が限られている.今回,当院で門脈腫瘍栓を伴った進行肝細胞癌に動注化学療法を行った症例に対し,腫瘍効果を検討したので報告する.【対象・方法】2008年4月から2013年3月までに動注化学療法を施行した症例のうち,門脈腫瘍栓(VP3,VP4)を伴った進行肝細胞癌で経過が追えた13例のうち,初発の9例を対象とした.年齢は48-79歳(平均64.9歳),背景肝は肝硬変でHBV:3例,HCV:3例,アルコール:3例,ChildはA/B/Cが2例/6例/1例であった.方法は,肝動脈より塞栓物質を併用せず抗癌剤を動注し,腫瘍マーカーの改善や画像による改善および生存期間で評価した.なお抗癌剤は,シスプラチン6例,エピルビシン塩酸塩3例である.【結果】1)生存期間は2週~13ヶ月,中央値が2ヵ月,平均が3.5ヵ月であった.2)画像上で改善傾向を認めた症例は1例で,生存期間は6ヵ月であった.3)腫瘍マーカーの正常化,画像上腫瘍栓の消失,肝内の腫瘍の縮小を認めた症例は1例で,残存にはRFAを追加し,現在腫瘍は消失し13ヵ月経過し生存中.4)腫瘍マーカーや画像の改善を認めなかった症例は7例で,生存期間が2週から4ヶ月(平均1.8ヵ月)であった.5)使用薬剤での差は認められなかった.【結語】門脈腫瘍栓を伴った進行肝細胞癌に対して動注化学療法は,必ずしも良好な結果とは言えないが,腫瘍マーカーの改善を認めることができれば効果が期待できる可能性がある.しかし,改善が見られない場合は,薬剤を変更するなど検討する必要があると考えられた.
索引用語