セッション情報 ポスター

稀な肝悪性腫瘍

タイトル P-364:

稀な肝原発腫瘍―肝血管肉腫の1例―

演者 泉田 俊秀(富山県立中央病院内科)
共同演者 堀田 洋介(富山県立中央病院内科), 酒井 明人(富山県立中央病院内科), 野田 八嗣(富山県立中央病院内科)
抄録 【症例】60歳代女性.職業歴では,塩化ビニルの曝露歴なし.現病歴では,糖尿病,高血圧,陳旧性脳梗塞でA病院を定期受診していた.2013年3月中旬の同病院での血液生化学検査で肝機能障害と腹部造影CTで肝腫瘍が認められ,当院消化器外科に紹介となった.身体所見には異常所見なく,血液生化学検査では,AST 66 IU/L,ALT 121 IU/L,ALP 473 IU/L,γGTP 198 IU/L,HBs抗原陰性,HCV抗体陰性,AFP,PIVKA2,CEA,CA19-9は全て正常範囲内であった.造影CTで肝S7に辺縁優位に増強され内部造影効果が乏しい下大静脈に接する5.5 cm大の腫瘤性病変を認め,EOB-MRIで乏血像を呈し,PET-CTで肝腫瘤に限局した異常集積(SUVmax13.3)を認めた.画像上は,肝内胆管癌や低分化な肝細胞癌が疑われた.同年4月に肝後区域切除術および胆嚢摘出術が施行され,肉眼所見は,肝S7に暗赤色の壊死・出血性腫瘤を認め,周囲に広がる斑状腫瘤は肝表や切離面に広く接していた.切除標本の病理所見では,腫瘍は紡錘形異型細胞で血管腔様配列があり,免疫組織染色でびまん性にCD31陽性であったため肝血管肉腫と診断された.洞内散在性に腫瘍浸潤を認め切除断端は陽性であった.背景肝はNASHであった.化学療法目的に当科紹介となり,術後約1ヶ月後からweekly-Paclitaxel療法(130mg/body)開始した.有害事象なく経過し,2コース目終了時の造影CTで肝前区域に造影効果を認める小結節が散見され,腫瘍の再発と判断した.Teceleukin(70万単位/day)開始するもGrade3血小板減少が出現し一時中断,その後DICを併発し,術後約5ヶ月後に死亡した.【考察および結語】肝血管肉腫は予後不良の疾患で,治癒切除不能の場合の治療方法は確立されていない.今回,診断・治療に難渋した肝血管肉腫の1例を経験したので,剖検結果と併せて症例検討に提示したい.
索引用語