セッション情報 ポスター

稀な肝悪性腫瘍

タイトル P-365:

当科で経験した肝血管肉腫の二症例

演者 横濱 桂介(大阪医科大学消化器内科)
共同演者 津田 泰宏(大阪医科大学消化器内科), 大濱 日出子(大阪医科大学消化器内科), 筋師 徹也(大阪医科大学消化器内科), 朝井 章(大阪医科大学消化器内科), 福西 新弥(大阪医科大学消化器内科), 樋口 和秀(大阪医科大学消化器内科)
抄録 【はじめに】肝血管肉腫は類洞の内皮細胞に由来する非上皮性悪性腫瘍であり発生頻度は肝原発性悪性腫瘍の約2%と極めてまれである.今回,肝血管肉腫を二例経験したため報告する.【症例】症例1は50歳代,女性.生来健康であったが平成23年春に発熱,全身倦怠感を自覚し近医受診,腹部診察で肝腫大を疑われ当科紹介となる.腹部造影CT検査にて動脈相で一部濃染し,平衡相で肝実質と均一に濃染される腫瘍を肝内に多発性に認め精査目的で入院となる.血液検査上,WBC 5080,Hb 7.7 g/dl,PLT 24.8,Alb 3.4mg/dl,T-Bil 1.4mg/dl,AST 48U/l,ALT 27U/l,LDH 360U/l,ALP 618U/l,γGTP 157U/l,CRP 0.5mg/dl,PT 72%各種腫瘍マーカーは陰性であった.上部下部消化管内視鏡異常なし.EOB-MRIにて腫瘍部位は肝細胞相で淡く取り込みの低下を認めた.血管系腫瘍,転移性腫瘍などを鑑別に経皮的肝生検を施行したが,炎症細胞浸潤と一部線維化を伴う線維芽細胞の浸潤を認めるのみであり炎症性偽腫瘍が疑われた.しかし感染症の徴候は認めず再度経皮的肝生検を施行した結果,異型のある短紡錘形細胞の増殖を認め,免疫染色にてCD34,Factor VIIIが陽性を示し,肝血管肉腫と診断された.腫瘍は肝両葉に存在し肝切除は不能であったため,IL-2点滴製剤にて治療を開始したが全身状態が悪化し永眠された.症例2は80歳代,男性.アルコール性肝硬変,平成10年,16年に肝細胞癌に対し肝部分切除術を施行.平成24年7月頃に肝S5に腹部CTで動脈相から平衡相にかけて辺縁より内部に徐々に濃染する腫瘍が出現し肝部分切除術施行された.病理標本にて免疫染色にてCD31,34が陽性を示す短紡錘形の異型細胞を認め肝血管肉腫と診断された.術後経過問題なく現在生存中である.【まとめ】肝血管肉腫は発生頻度は極めて稀な肝腫瘍であり,今回経皮的肝生検で診断された一例と肝細胞癌の経過中に発症した一例の二症例を経験したため報告する.
索引用語