セッション情報 ポスター

HCC-5

タイトル P-367:

集学的治療により制御し得た肝内多発肝細胞癌,右心房浸潤転移の一例

演者 高谷 広章(奈良県立医科大学消化器内分泌代謝内科)
共同演者 豊原 眞久(奈良県立医科大学消化器内分泌代謝内科), 小堤 隆弘(奈良県立医科大学消化器内分泌代謝内科), 錦織 麻衣子(奈良県立医科大学消化器内分泌代謝内科), 北出 光輝(奈良県立医科大学消化器内分泌代謝内科), 浪崎 正(奈良県立医科大学消化器内分泌代謝内科), 田原 一樹(奈良県立医科大学消化器内分泌代謝内科), 沢井 正佳(奈良県立医科大学消化器内分泌代謝内科), 平賀 俊(奈良県立医科大学心臓血管外科・呼吸器外科), 早田 義宏(奈良県立医科大学心臓血管外科・呼吸器外科), 阿部 毅寿(奈良県立医科大学心臓血管外科・呼吸器外科), 谷口 繁樹(奈良県立医科大学心臓血管外科・呼吸器外科), 福井 博(奈良県立医科大学消化器内分泌代謝内科)
抄録 【目的】肝細胞癌(HCC)が肝静脈内に浸潤し,右心房にまで進展する例は比較的稀で,多くは下大静脈内に腫瘍塞栓を形成する.今回,腫瘍塞栓を伴わない孤立性の右心房浸潤転移巣を摘出した後,肝内多発肝細胞癌に対して肝動脈塞栓術(TACE)・ラジオ波焼灼療法(RFA)を加え集学的治療により制御し得た一例を経験したので報告する.【症例】75歳男性,C型肝硬変(Child-Pugh 5点)にて近医で経過観察中,AFP(16.6ng/ml),PIVKA-2(421mAU/ml)と上昇とともに胸腹部造影CTにて右心房内に径45mm大の腫瘍および肝内多発病変(S5径10mm大,S6径7mm大・18mm大の2ヶ所,S4/8径6mm大)を指摘され当科受診.右心房腫瘍は大きく右心不全あるいは肺塞栓による突然死が危惧された為,入院3病日に腫瘍摘出術を施行.術中所見では右心房腫瘍の下大静脈内進展は無く,腫瘍部組織所見はHCCであり,孤立性のHCC右心房浸潤転移と診断した.その後41病日に肝内多発HCCに対しTACE施行.術後CTにてS5,S6径7mm大の腫瘍のリピオドールの集積は不均一であり,RFAを追加し制御し得た.【考察&結語】HCCの右心房進展は突然死の原因となり,腫瘍摘出術が必要となるが,従来手術対象とならない予後不良例が多数を占めていた.しかし,本例の如く肝予備能が保持された.孤立性の右心房浸潤転移では腫瘍摘出術が奏効する場合がある.HCC高リスク群においては肝内のみならず,肝外,特に右心房進展の有無も念頭におき,綿密な経過観察を要するものと考える.
索引用語