セッション情報 ポスター

HCC-6 ソラフェニブ

タイトル P-371:

ビタミンKおよび分岐鎖アミノ酸製剤服用が進行肝細胞癌に対するソラフェニブ治療に与える予後改善効果の検討

演者 春名 能通(大阪府立急性期・総合医療センター)
共同演者 鳥住 知安記(大阪府立急性期・総合医療センター), 滋野 聡(大阪府立急性期・総合医療センター), 阿部 友太朗(大阪府立急性期・総合医療センター), 井上 貴功(大阪府立急性期・総合医療センター), 大西 幸作(大阪府立急性期・総合医療センター), 岩谷 修子(大阪府立急性期・総合医療センター), 井上 浩一(大阪府立急性期・総合医療センター), 長谷川 徳子(大阪府立急性期・総合医療センター), 澁川 成弘(大阪府立急性期・総合医療センター), 石井 修二(大阪府立急性期・総合医療センター), 西山 範(大阪府立急性期・総合医療センター), 葛下 典由(大阪府立急性期・総合医療センター), 井上 敦雄(大阪府立急性期・総合医療センター)
抄録 【目的】進行肝細胞癌に対しソラフェニブ投与が広く行われているが,抗腫瘍効果については,必ずしも満足のいくものとはいえない.ビタミンKは,ソラフェニブのRaf抑制作用を相乗的に増強すること知られており,他方,分岐鎖アミノ酸(BCAA)服用は,肝発癌を抑制するとした臨床報告が,見られる.われわれは,進行肝細胞癌の中でも比較的長期予後が期待できるバルセロナ肝癌進行度分類(BCLC)Bにおけるソラフェニブ治療で,ビタミンKおよびBCAA内服が,予後を改善するか否かを後ろ向きに検討した.【方法】ソラフェニブ投与の進行肝細胞癌患者21例につき検討した.年齢:58-84歳(中央値77歳)であった.このうちソラフェニブ開始時に,9例でビタミンK(グラケー45mg/日)が,8例でBCAA製剤(リーバクト12.45g/日)が,投与されていた.このうち4例については,両者が,投与されていた.治療成績の評価は,modified RECISTにより行った.【成績】ビタミンK投与群と非投与群の無増悪生存中央値は,10.0カ月と3.0カ月であり有意(P=0.008)に投与群で延長していた.全生存の中央値は,それぞれ,31.5カ月と15.5カ月であり,投与群で延長する傾向が見られた(P=0.056).一方,BCAA投与群と非投与群の無増悪生存中央値は,8.0カ月と6.0カ月であり,有意差は,認められなかったが,全生存の中央値は,それぞれ,36.5カ月と17.0カ月であり,投与群で有意(P=0.013)な延長が認められた.【考案】ソラフェニブにビタミンK内服を併用することにより,治療早期の抗腫瘍効果増強が認められたが,BCAA製剤では,見られなかった.しかし,ビタミンKまたはBCAA製剤の投与は,ソラフェニブ治療における全生存期間を著しく延長させた.ビタミンKとBCAAは,異なった作用機序により予後を改善したと考えられる.
索引用語