セッション情報 | ポスター肝不全・肝移植 |
---|---|
タイトル | P-376:メチルドパが原因と考えられた亜急性型劇症肝炎に対しhigh flow HDFを含めた集学的治療を行い,肝移植にて救命しえた1例 |
演者 | 小泉 忠史(北海道社会保険病院消化器センター) |
共同演者 | 馬場 英(北海道社会保険病院消化器センター), 定岡 邦昌(北海道社会保険病院消化器センター), 古家 乾(北海道社会保険病院消化器センター), 関谷 千尋(北海道社会保険病院消化器センター), 服部 淳夫(北海道社会保険病院病理), 後藤 了一(北海道大学大学院消化器外科学分野I), 青柳 武史(北海道大学大学院消化器外科学分野I), 山下 健一郎(北海道大学大学院移植外科学), 嶋村 剛(北海道大学病院臓器移植医療部) |
抄録 | 症例は40歳代女性.平成24年9月妊娠を契機としてメチルドパ250mgが開始となった.平成25年3月中旬に骨盤位のため当院産婦人科に入院.入院当日から同剤が750mgに増量となり,帝王切開を施行し退院.同年5月倦怠感を自覚,6月上旬に白色便,6月下旬には黄疸を認めた.同年7月初旬に近医を受診し当科紹介となった.肉眼的黄疸を認めたが意識は清明であった.血液検査ではT-Bil 18.4mg/dl(D/T比0.75)と直接型優位のBil上昇を認め,肝障害はALP 833U/L,AST 2411U/L,ALT 1685 U/L,γGTP 175 U/Lと肝細胞障害型で,PT活性値は28.3%であった.肝炎ウイルスは陰性で,ANAが1280倍であるも他の各種自己抗体,ガンマグロブリンは正常範囲内であった.DLSTではメチルドパは疑陽性であった.肝生検では広範な肝細胞の脱落が認められた.2004年JDDW薬剤性肝障害ワークショップのscoringは8点,AIH scoringは3点でありメチルドパによる薬剤性肝障害を第一に考えた.同剤を休薬しSNMC,UDCA,FFP輸血を行った.第6病日にII度の肝性脳症が出現し劇症肝炎と診断した.第8病日には脳症はV度と悪化を認めた.第10病日から血液浄化療法を開始し,第12病日からはhigh flow HDFとし,第14病日には完全覚醒が見られた.high flow HDFを継続し,脳死肝移植登録申請を行い移植待機となった.第19病日にドナーがみつかり肝移植目的に転院となった.第20病日に脳死肝移植を施行し第70病日に退院となった.今回,メチルドパが原因と考えられる亜急性型劇症肝炎を経験した.メチルドパは産婦人科領域での妊婦,授乳婦に対する第一選択の降圧薬であるが,時に重篤な肝障害を惹起することがあり,特に開始・増量直後は肝機能のモニタリングが必要と思われた. |
索引用語 |