セッション情報 | ポスター肝不全・肝移植 |
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タイトル | P-378:当院における急性肝不全の治療成績と予後予測因子の検討 |
演者 | 荒川 恭宏(名古屋大学医学部消化器内科) |
共同演者 | 新家 卓郎(名古屋大学医学部消化器内科), 今井 則博(名古屋大学医学部消化器内科), 阿知波 宏一(名古屋大学医学部消化器内科), 山田 恵一(名古屋大学医学部消化器内科), 中野 聡(名古屋大学医学部消化器内科), 石津 洋二(名古屋大学医学部消化器内科), 葛谷 貞二(名古屋大学医学部消化器内科), 本多 隆(名古屋大学医学部消化器内科), 林 和彦(名古屋大学医学部消化器内科), 石上 雅敏(名古屋大学医学部消化器内科), 後藤 秀実(名古屋大学医学部消化器内科) |
抄録 | 【目的】急性肝不全は,急激かつ広範な肝細胞機能低下をきたす予後不良な疾患群である.わが国では欧米と異なり脳死肝移植症例が限られ,内科的に全身管理を行い自己の肝再生を待機することが必要であるが,予後の評価を行い,内科的救命困難症例に関しては適切な時期に肝移植を考慮することが必要である.当院での急性肝不全の治療成績,予後に関与する各種因子の検討を行った.【方法】1992年1月より2013年10月までに当院にて劇症肝炎および遅発性肝不全(LOHF)で治療を行った38例を対象とした.【成績】患者背景は男性20例,女性18例,年齢中央値51歳,急性型18例,亜急性型18例,LOHF2例であった.成因はウイルス性11例(A型1例,B型9例,C型1例),薬剤性3例,アルコール性3例,自己免疫性2例,その他20例であった.内科的救命率は32%(急性型7例,亜急性型5例)であったが,肝移植施行12例中9例が救命でき,全体としての救命率は55%であった.新規予後予測スコアリングにて5点以上を死亡予測とすると,内科的救命12例のうち4点以下は5例(41.7%),内科的非救命26例のうち5点以上は11例(42.3%)と当院での正診率は低かった.年齢,性別,成因,child-pughスコア,MELDスコア,AFP,アンモニア,肝細胞増殖因子(HGF)に関して検討を行うと,HGF(中央値)に関して,内科的救命例(1.94)は非救命例(4.92)よりも優位に低値で(P=0.019),3.0未満で生存率が優位に高かった(P=0.041).またHF-HDF導入例(14例)と非導入例(24例)における内科的救命率は,それぞれ41%,22%と有意差を認めないものの,導入後に内科的非救命の7例中5例は肝移植により救命でき,覚醒効果はそれぞれ81%,50%で導入例において良好な傾向を認めた(P=0.053).【結論】内科的治療効果に関与する因子としてHGF3.0未満があげられ,またHF-HDFの導入により高い覚醒効果が得られ,肝移植までの状態を良好に保つことができると考えられた. |
索引用語 |