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肝不全・肝移植

タイトル P-380:

アミオダロンが原因と考えられる肝障害を認めた一剖検例

演者 小島 真一(松阪中央総合病院胃腸科)
共同演者 別府 徹也(松阪中央総合病院胃腸科), 山中 猛成(松阪中央総合病院胃腸科), 玉井 康将(松阪中央総合病院胃腸科), 黒田 直起(松阪中央総合病院胃腸科), 矢田 崇純(松阪中央総合病院胃腸科), 金子 昌史(松阪中央総合病院胃腸科), 金子 真紀(松阪中央総合病院胃腸科), 直田 浩明(松阪中央総合病院胃腸科), 小林 一彦(松阪中央総合病院胃腸科)
抄録 【背景】抗不整脈薬であるアミオダロンは高い有効性をもつ一方で肝障害の報告も散見されるようになってきた.しかし肝障害出現時の明確な中止基準はなく,不整脈再発による生命リスクを考慮したうえで中止する必要があり,特に慢性的な経過を辿る場合に中止の判断に難渋するのが現状である.今回我々はアミオダロンによる肝障害出現後約4年で肝硬変に至った1剖検例を経験したので報告する.【症例】74歳,男性【主訴】腹部膨満感【既往歴】特記事項なし【嗜好】飲酒歴なし【現病歴】2009年4月に心室頻拍に対して植え込み型徐細動器(ICD)植え込み術を施行され,アミオダロン200 mg/日の投与が開始された.開始時に肝障害は認めていなかったが同年9月にAST 71IU/L,ALT84 IU/Lとトランスアミナーゼ上昇を認めた.その後も100IU/L前後で著変なく推移していたためアミオダロン継続で経過観察されていた.2012年12月に肝障害の増悪を認め,当科にコンサルトされた.CT検査では硬変肝,腹水貯留を認めた.各種ウイルス検査は陰性であったが,IgG高値・抗核抗体陽性であった.肝障害の原因としてアミオダロンにより誘発された自己免疫性肝炎や薬剤性肝障害の可能性が考えられた.そのため,アミオダロンの中止を検討したが,致死的不整脈出現の可能性のため中止困難でありウルソ600 mg/日の投与を開始した.以後,トランスアミナーゼの顕著な増悪なく経過したが肝不全の進行を認め2013年7月に肝不全にて永眠された.家族の同意を得て病理解剖を行った.肝障害の原因は特定できなかったが進行した肝硬変の状態であった.【考察】アミオダロンによる肝障害にて4年の経過で肝硬変に至った症例を経験した.同剤中止は致死的不整脈再発のリスクから容易ではないが肝機能障害の持続にて数年で肝硬変に至る場合があり病態を把握し慎重な観察が必要であると考えた.
索引用語