セッション情報 ポスター

膵癌2

タイトル P-385:

当院における膵癌剖検例の臨床病理学的検討

演者 高木 智史(札幌社会保険総合病院内科・消化器科)
共同演者 今井 亜希(札幌社会保険総合病院内科・消化器科), 藤澤 倫子(札幌社会保険総合病院内科・消化器科), 吉田 純一(札幌社会保険総合病院内科・消化器科)
抄録 当院で2003年1月から2012年12月までの過去10年間に剖検が施行された浸潤性膵管癌19例について臨床病理学的事項を検討した.男性11例,女性8例,平均年齢は70.5歳(57-85歳)であった.膵頭部癌8例,体尾部癌は11例であった.組織所見では管状腺癌が14例,腺扁平上皮癌が3例,退形成癌が2例であった.手術は3例(膵頭部癌1例,膵体尾部癌2例)に行われていた.StageではIIIが1例,IVaが2例であった.全例R0切除術が行われていたが,剖検所見からは局所再発を2例(66.6%)に認めた.手術症例での平均生存期間は18ヶ月であった.化学療法は6例に行われていた.塩酸ゲムシタビン(GEM)単独による治療が4例であり,GEM+S-1の併用療法が行われた症例は2例であった.化学療法が行われた症例の平均生存期間は7ヶ月であったが,併用療法とGEM単独療法では生存期間に有意差はなかった.PSが極めて不良であったり,高齢,合併症などにより初診時からBest supportive careしか行うことができなかった症例(胆道ドレナージ施行例を含む)は11例であった.癌性腹膜炎や胸膜炎による腹部膨満感や呼吸苦を主訴に受診となった症例では,平均生存期間は極端に短く20.5日であった.全症例を通じ死亡原因別にみてみると,癌性腹膜炎による腹水貯留から循環不全が死因となったものが8例(42.1%)と最も多く,多発性肝転移や胆管炎により肝不全をきたしたものが5例(26.3%),癌性胸膜炎や肺転移による呼吸不全が2例(10.5%)であった.現疾患のため急激に全身状態の悪化した症例としては,化学療法施行中に大動脈周囲リンパ節転移から下大静脈に穿破し腹腔内出血をきたしたものが1例と閉塞性膵炎から小腸周囲膿瘍を形成し小腸穿孔をきたしたものが1例あった.また他疾患によるものとしては,急性心筋梗塞が死因であったものが2例あった.剖検により他臓器癌が明らかとなった症例は3例あったが(前立腺癌1例,甲状腺癌1例,食道癌1例),いずれも予後を規定するものではなかった.
索引用語