セッション情報 ポスター

膵癌2

タイトル P-388:

地方病院でのStage I膵癌の実態と今後の課題

演者 久居 弘幸(伊達赤十字病院消化器科)
共同演者 平子 匡(伊達赤十字病院消化器科), 小柴 裕(伊達赤十字病院消化器科), 宮崎 悦(伊達赤十字病院内科), 前田 喜晴(伊達赤十字病院外科), 佐藤 正文(伊達赤十字病院外科), 川崎 亮輔(伊達赤十字病院外科), 行部 洋(伊達赤十字病院外科), 上野 峰(伊達赤十字病院外科), 在原 洋平(札幌医科大学腫瘍・血液内科学), 池田 裕貴(札幌医科大学腫瘍・血液内科学)
抄録 【背景】浸潤性膵管癌(膵癌)は増加傾向にあるが,小膵癌の発見率は未だ十分でない.予後改善のためには,地域医療における早期診断が重要な鍵を握っていると考えられる.今回,地方病院である当院でのStage I膵癌について検討した.
【方法】対象は当院で切除されたStage I膵癌6例(H6年11月~H25年9月に診断された膵癌は256例であり,2.4%に相当)で,年齢65~84歳(平均74歳),男性4例,女性2例であった.腫瘍占拠部位は,頭部3例,体部3例で,腫瘍径は10~20mm(平均14.7mm)であった.
【成績】1)発見契機は,上腹部痛1例,糖尿病の悪化2例,画像診断での異常所見3例(USで主膵管拡張,CTで主膵管拡張,MRCPでの主膵管狭窄)であった.2)家族歴は全例なく,喫煙歴を3例,糖尿病の合併を4例に認めた.分枝型膵管内乳頭粘液性腫瘍(BD-IPMN)の合併を3例に認め,1例は経過観察中,10年3か月後のMRCPが発見契機となった.3)血液生化学検査では血清アミラーゼの上昇2例,腫瘍マーカーではCEA上昇2例,CA19-9上昇1例であった.4)US,CT,EUS,MRCPによる画像診断では,すべて主膵管拡張などの間接所見を有していたが,US,CT,EUSの腫瘍描出能では,それぞれ5例,2例,6例でありEUSが優れていた.5)ERCPは3例に施行され,主膵管生検1例,生検・擦過細胞診1例で診断可能であった.EUS-FNAはERCP未施行3例に施行し,全例診断可能であった.6)組織型では管状腺癌4例,粘液癌1例,退形成性癌(紡錘細胞型)1例であった.7)術後補助療法(gemcitabine)は4例に施行され,49か月後に肺炎死した1例を除き生存中であり,現在治療継続中である(観察期間中央値8か月).未施行2例は再発後化学療法を施行するも,術後8か月(退形成性癌),44か月(粘液癌)で死亡した.
【結論】地域医療においても,高リスク群に対する膵癌スクリーニングの啓蒙と診断体系の確立が今後の課題である.
索引用語