セッション情報 ポスター

膵癌3

タイトル P-393:

主膵管との交通が確認出来なかった分枝型膵管内乳頭状粘液産生癌の1例

演者 木内 亮太(浜松医科大学第二外科)
共同演者 坂口 孝宣(浜松医科大学第二外科), 武田 真(浜松医科大学第二外科), 平出 貴乗(浜松医科大学第二外科), 柴崎 泰(浜松医科大学第二外科), 森田 剛文(浜松医科大学第二外科), 鈴木 敦司(浜松医科大学第二外科), 菊池 寛利(浜松医科大学第二外科), 鈴木 昌八(磐田市立総合病院外科), 今野 弘之(浜松医科大学第二外科)
抄録 症例は71歳女性.心窩部違和感を主訴に前医を受診し,腹部超音波検査で膵頭部に嚢胞性病変を指摘されたため当院紹介となった.造影CTでは膵頭体部移行部に42mm大の腹側に突出する嚢胞性病変が存在した.内部辺縁に一部充実成分を認め,漸増性に造影される部位が存在した.同部位より尾側の膵管は5mmに拡張していた.MRI検査では嚢胞内部はT1強調画像でわずかに高信号,T2強調画像で高信号を呈し,充実成分はともに低信号であった.MRCP検査およびERCP検査で主膵管と嚢胞性病変との交通は認めなかった.以上より膵頭部に存在する嚢胞性病変で主膵管との交通がないことおよび一部充実成分を伴っていることから,術前診断としてsolid pseudopapillary neoplasma,内部壊死を伴った膵神経内分泌腫瘍,主膵管との交通がないIPMNを鑑別診断に挙げ,手術を施行した.術中門脈への浸潤があり,門脈合併切除を伴う亜全胃温存膵頭十二指腸切除術を施行した.術後病理結果で,腫瘍内部は出血と壊死物質を伴った粘液で満たされていた.嚢胞内面は概ね平滑だが,一部白色充実性腫瘤があり,同部位には中分化型腺癌が存在し,門脈への浸潤を認めた.嚢胞内上皮は正常上皮から乳頭状腺腫成分・浸潤癌への移行像が確認できた.病理学上主膵管の圧排像は認めたが,嚢胞との交通は確認出来なかった.以上よりIPMN由来浸潤癌T4(pCH-,pDU-,pS-,pRP+,pPVsm+,pA-,pPL-,pOO-)N1M0 Stage IVaと診断した.術後経過良好で術後20日で退院し,現在S-1による術後補助化学療法を行っている.
今回術前画像・術後病理で主膵管との交通が確認出来ないIPMN由来浸潤癌を経験した.一般的にIPMNは主膵管との交通を認めることが診断の一助になるため,本症例のように交通がない症例が存在することも考慮する必要があると思われた.また主膵管との交通がなくなった機序など示唆に富む症例と考えられた.
索引用語