セッション情報 ポスター

腫瘍-1

タイトル P-396:

消化器癌に合併したTrousseau症候群7例の経験

演者 坂谷 彰彦(国家公務員共済組合連合会大手前病院消化器内科)
共同演者 笹井 保孝(国家公務員共済組合連合会大手前病院消化器内科), 西田 直浩(国家公務員共済組合連合会大手前病院消化器内科), 阪本 めぐみ(国家公務員共済組合連合会大手前病院消化器内科), 上ノ山 直人(国家公務員共済組合連合会大手前病院消化器内科), 木下 和郎(国家公務員共済組合連合会大手前病院消化器内科), 土井 喜宣(国家公務員共済組合連合会大手前病院消化器内科)
抄録 【目的】Trousseau症候群は悪性腫瘍に伴う血液凝固異常から血栓塞栓症を来した病態として定義され,発症後の予後は不良とされる.基礎疾患として腺癌の割合が多いことが知られており,消化器領域で悪性疾患の診療に従事する場合,その特徴を把握している事が重要である.しかしながら稀な疾患であるため依然として報告例は少ない.今回われわれは消化器癌に合併したTrousseau症候群の7例を経験したので報告する.【方法】当院において2007年9月から2013年9月までにTrousseau症候群と診断した7例を対象として臨床経過についてretrospectiveに検討した.【結果】男性4例,女性3例,年齢中央値は68歳(65~79歳),基礎悪性疾患の内訳は膵臓癌4例,胃癌1例,肝内胆管癌1例,胆嚢癌1例で,組織型は確定例2例が共に腺癌であった.臨床病期は全例がStageIVであったが,発症直前のPSは全例0と保たれていた.血液凝固マーカーはD-dimerの平均値が36.5μg/ml(4.3~82.6μg/ml)であり全例で上昇を認めた.血栓塞栓症の発症時期に関しては血栓塞栓症の発症を契機に癌と診断されたものが3例,化学療法施行中3例,緩和療法中1例で,使用されていた抗癌剤はTS-1が1例,TS-1/GEMが1例,GEMが1例であった.急性期の抗凝固療法は全例ヘパリンが用いられたが,退院に際して抗凝固療法を終了した1例とバイアスピリンに変更した1例で再発が見られた.【結論】Trousseau症候群は進行癌に合併することが多く,D-dimerが高値の場合には本症候群を念頭に置く必要がある.また,再発予防には適切な抗凝固薬の選択が肝要であると考えられた.
索引用語