セッション情報 |
ポスター
腫瘍-1
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タイトル |
P-397:好酸球増多症を契機に診断し得た悪性腹膜中皮腫の一例
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演者 |
川上 武志(帯広厚生病院第三内科) |
共同演者 |
深谷 進司(帯広厚生病院第三内科), 吉田 晃(帯広厚生病院第三内科), 新 智文(帯広厚生病院第三内科), 菊池 英明(帯広厚生病院第三内科) |
抄録 |
【症例】60代,男性【主訴】腰痛【現病歴】来院2ヶ月前より嘔気や食欲低下が出現し,2週間前より増悪傾向にあった.また,腰痛を自覚していたが,非常に強い疼痛となり,当院へ救急搬送された.腹部がやや膨満しており,触診では板状硬であったが,圧痛は認めなかった.血液検査では白血球数が24,000/μlと高値で,好酸球が20.8%を占めていた.CTでは腹膜の肥厚,腹水の貯留を認めた.腹水の性状は滲出性,腹水中の白血球数は3,700/μlと高値で,好酸球は69.0%を占めており,細胞診はClassIであった.腹水の排液により腰痛は改善した.腹膜炎の原因診断に難渋し,精査目的に審査腹腔鏡を施行した.術中所見は腹膜に多発する隆起性病変を認め,病変部から生検した結果,悪性腹膜中皮腫(二相型)の診断となった.全身状態不良のため化学療法は行なわない方針とした.嘔気症状の緩和目的にデキサメタゾンを投与し,嘔気は改善したが,好酸球は増加した.現在,緩和治療で経過観察となっている.【考察】悪性中皮腫は体腔内面を広く覆う中皮細胞に発生する悪性腫瘍である.アスベスト曝露歴が悪性中皮腫の発生と関与があるとされている.腹水を認める症例でも,細胞診での中皮腫細胞を診断する事は困難であり,正診率は10%前後と低く,確定診断は困難な事が多い.本症例のような原因不明の腹膜炎の診断には腹腔鏡下生検は有用であると考えられる.一方,腫瘍随伴症候群としての好酸球増多症は,悪性腫瘍によるIL-5やGM-CSFの転写の活性化が原因と考えられているが詳細な機序は未だ解明されていない.また,悪性腫瘍の0.5%に見られるとされているが,多くは血液腫瘍であり,本症例のように悪性腹膜中皮腫に随伴した症例は極めて稀である.文献的考察を加えて報告する. |
索引用語 |
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