セッション情報 ポスター

腫瘍-1

タイトル P-398:

5-FU(fluorouracil)による高NH3血症を認めた4例

演者 中井 敦史(兵庫県立尼崎病院消化器内科)
共同演者 長尾 宗政(兵庫県立尼崎病院消化器内科), 正木 翔(兵庫県立尼崎病院消化器内科), 北村 悟(兵庫県立尼崎病院消化器内科), 山崎 友裕(兵庫県立尼崎病院消化器内科), 菱谷 英里子(兵庫県立尼崎病院消化器内科), 平松 由紀子(兵庫県立尼崎病院消化器内科), 増尾 謙志(兵庫県立尼崎病院消化器内科), 野本 大介(兵庫県立尼崎病院消化器内科), 梅田 誠(兵庫県立尼崎病院消化器内科), 川崎 公男(兵庫県立尼崎病院消化器内科), 松村 毅(兵庫県立尼崎病院消化器内科), 斎田 宏(兵庫県立尼崎病院消化器内科), 木村 利幸(兵庫県立尼崎病院消化器内科)
抄録 進行・再発大腸癌に対する標準治療ならびに食道癌に対する化学療法においても5-FUはkey drugとなっている.今回,化学療法施行中に高NH3血症をきたした3例の大腸癌と1例の食道がんを経験したので報告する.【症例1】77歳の男性,S状結腸癌・肝転移,Beva+mFOLFOX 5コース終了後2日目に高NH3血症による意識障害と嘔吐を認めた.【症例2】73歳の男性,直腸癌・多発肺転移,Beva+mFOLFOX6 9コース終了後2日目に高NH3血症による意識障害を認めた.【症例3】72歳の男性,IgA腎症の既往あり腎機能障害を有していた.直腸癌・傍大動脈リンパ節転移に対してmFOLFOX6 1コース目の5-FUの持続点滴中に高NH3血症を認めた.【症例4】75歳の男性,下肢虚血に対してワーファリン内服中.食道癌・頚部リンパ節転移に対して術前化学療法目的でNDP/5FUを開始したが投与3日目に高NH3血症による意識障害を認めた.いずれの症例も分枝鎖アミノ酸製剤投与にて意識状態は改善している.5-FUによる高NH3血症は比較的稀とされているが,医学中央雑誌にて2005年から2013年6月までの期間で検索したところ,自験例も含めて53件74例の報告があり,61例(82.4%)が大腸癌であった.5-FUによる高NH3血症の機序としては5-FUの代謝性産物であるフルオロクエン酸のTCAサイクル代謝異常や腎機能低下による尿素排出障害が考えられている.背景危険因子としては腎機能障害,肝障害,脱水,拮抗薬剤の使用,高齢等があげられる.自験例4例についてはいずれも70歳以上の高齢者であった.5-FU使用時の高NH3血症は重要な副作用であり,その背景因子と傾向を自験例4例をふまえ文献的考察を加えて報告する.
索引用語