セッション情報 ポスター

腫瘍-2

タイトル P-401:

全身化学療法によりlong SDが得られた悪性腹膜中皮腫の1例

演者 二渡 信江(北里大学メディカルセンター外科)
共同演者 横田 光央(北里大学メディカルセンター外科), 本田 朋(北里大学メディカルセンター外科), 信太 昭子(北里大学メディカルセンター外科), 小野里 航(北里大学メディカルセンター外科), 近藤 康史(北里大学メディカルセンター外科), 高橋 禎人(北里大学メディカルセンター外科), 池永 誠(北里大学メディカルセンター外科), 西 八嗣(北里大学メディカルセンター外科)
抄録 症例は,35歳男性.2年前より,臍部腫瘤を自覚していたが放置していた.2カ月前から体重を5kg減量したところ,臍部腫瘤が目立つようになり近医受診し,臍上腹壁腫瘤の診断で当院紹介となった.臍部に5.5cm×5cm大の腫瘤を認め,超音波検査では尿膜管遺残が疑われた.腹部CT検査では,腹水貯留,臍部・膀胱直腸窩に腫瘤,横隔膜下の腹膜肥厚,大網のOmental cakeの所見を認めた.PET-CT検査でも,臍周囲,膀胱直腸窩,肝下面,腹壁に集積を認め,腹膜中皮腫を疑われた.さらに左側脳室に転移を疑われた.胸部CT検査,上部内視鏡,大腸鏡,ガリウムシンチでは明らかな異常は認められなかった.確定診断目的に,臍腫瘤に対し,超音波ガイド下針生検を施行し,上皮型の悪性腹膜中皮腫と診断された.腫瘍が広範に広がっているため,化学療法を選択し,GEM+CDDPを9コース施行した.腫瘍は徐々に縮小してきたが,部分的に増悪も認め,また腎機能障害も出現してきたため,Pemetrexedへ変更し7コース施行した.腎機能障害が悪化したため,その後は化学療法を中止した.化学療法中止後も,腫瘍の増大傾向なく,現在までの1年10カ月間,long SDの状態が続いている.悪性腹膜中皮腫は,全中皮腫の10-20%とまれな疾患である.生存期間中央値は8-12ヶ月と予後不良とされている.今回,全身化学療法のみで3年3カ月以上生存している悪性腹膜中皮腫症例を経験したので報告する.
索引用語