セッション情報 ポスター

腫瘍-2

タイトル P-402:

胃・十二指腸・大腸に多彩な内視鏡所見を認めた濾胞性リンパ腫の1例

演者 岡野 裕行(神戸海星病院内科/消化器病センター)
共同演者 陣 佑祥(神戸海星病院内科/消化器病センター), 木下 隆昭(神戸海星病院内科/消化器病センター), 中村 晃(神戸海星病院内科/消化器病センター), 河野 泰博(神戸海星病院内科/消化器病センター), 薮内 以和夫(神戸海星病院内科/消化器病センター), 堅田 真司(堅田医院), 三戸岡 英樹(芦屋三戸岡クリニック)
抄録 【患者】50歳台男性【主訴】消化管の精査【現病歴】人間ドックの内視鏡検査で,2005年から十二指腸乳頭の腫大と胃体部から胃底部に多発する大小不同の隆起性病変を指摘されていた.2007,2008年には十二指腸乳頭,胃の隆起性病変,大腸ポリープからの生検でリンパ球の集蔟巣が認められていた.2009年7月,経過観察の内視鏡検査のため来院.【現症】体表リンパ節,肝臓,脾臓は触知せず【上部内視鏡検査】2008年までと同様に腫大した十二指腸乳頭と胃の多発隆起性病変がみられ,生検でのリンパ球集蔟巣は2008年に比べ著明になっていた.【下部内視鏡検査】横行結腸にIIa様,下行結腸にIs様,直腸にLST様の隆起がみられ,それぞれに生検,ポリペクトミー,EMRが施行された.病理検査ではいずれにもリンパ球類似細胞の集蔟巣がみられ,EMR検体では濾胞様構造の増生もみられたため悪性リンパ腫が疑われた.そのため免疫染色を追加し,CD20陽性,bcl-2陽性,CD10陽性であることから濾胞性リンパ腫と診断した.【経過】神戸大学血液内科転科後,諸検査でstageIVと診断され,R-CHOP療法を受けたところ寛解導入に至った.2010年には胃・十二指腸・大腸の病変はすべて消失しており,いずれも濾胞性リンパ腫による変化であったと判断した.2013年には直腸にリンパ濾胞様の結節が多発しリンパ腫の再燃を確認したが,形質転換していないことから経過観察されている.【考察】腸管濾胞性リンパ腫は十二指腸,空回腸に多発することはあるが,胃・十二指腸・大腸にわたり病変がみられることはまれである.さらに,十二指腸では白色顆粒状病変の集簇,胃大腸では粘膜下腫瘍様の形態をとる場合が多いが,本例のように胃で大小不同の多発隆起性病変,十二指腸で乳頭の腫大,大腸でIIa,Is,LST様の隆起性病変といった多彩な内視鏡所見を呈する症例は極めてまれであり若干の文献的考察を加え報告する.
索引用語