セッション情報 ポスター

臨床病態-2

タイトル P-405:

悪性腹膜中皮腫の3例

演者 田村 智(聖隷浜松病院消化器内科)
共同演者 佐藤 嘉彦(聖隷浜松病院消化器内科), 海野 修平(聖隷浜松病院消化器内科), 瀧浪 将貴(聖隷浜松病院消化器内科), 小林 陽介(聖隷浜松病院消化器内科), 木全 政晴(聖隷浜松病院消化器内科), 芳澤 社(聖隷浜松病院消化器内科), 舘野 誠(聖隷浜松病院消化器内科), 室久 剛(聖隷浜松病院消化器内科), 熊岡 浩子(聖隷浜松病院消化器内科), 清水 恵理奈(聖隷浜松病院消化器内科), 細田 佳佐(聖隷浜松病院消化器内科), 長澤 正通(聖隷浜松病院消化器内科)
抄録 症例1:38歳男性.原子力発電所勤務であるがアスベスト曝露歴はない.発熱,右季肋部痛を主訴に他院を受診され,肝右葉,大腸に腫瘤を指摘され精査目的で当院受診.腹部CTで肝周囲,横隔膜に不整な軟部組織を認め,腹水中のヒアルロン酸著明高値,肝に接した腫瘍性病変からの生検での組織診断,免疫染色で混合型の腹膜中皮腫の診断となった.CDDP腹腔内投与で腹水および腹膜播種結節の縮小を認め,S-1・CDDP併用療法で外来加療を継続したが,約2ヶ月後に腹膜播種による水腎症を発症.レジメンを変更しながら化学療法を継続したが,10ヶ月後に死亡した.症例2:81歳男性.鉄道会社勤務歴あるがアスベスト曝露歴はない.80歳時に結核性胸膜炎で抗結核薬療法が行われていた.呼吸器内科での経過観察のCTで多数の腹膜播種を疑う結節を認め精査目的で紹介され入院.入院時より全身状態が不良であり緩和療法主体で治療を行い,入院第72病日で死亡された.死亡後の病理解剖で腹膜播種結節の組織,免疫染色から悪性腹膜中皮腫と診断した.症例3:64歳男性.20歳より3年間のアスベスト曝露歴がある.前立腺癌にて前立腺全摘術を施行された際に腹水貯留を認め,細胞診にて腹膜中皮腫が疑われ当院紹介となった.胸腹部CTで胸膜および腹膜の不整な肥厚を認め,また右横隔膜上において,結節状の石灰化を多数認めた.血中および腹水中のヒアルロン酸高値が見られ,腹水細胞診(セルブロック法)による免疫染色にて腹膜中皮腫と診断した.CDDP腹腔内投与で腎機能悪化を来したため,ペメトレキセド・カルボプラチン併用療法に変更し,診断より15ヶ月経過した現在も化学療法を継続中である.悪性腹膜中皮腫は全中皮腫の10%程度と稀であり,予後不良の疾患である.さまざまな化学療法での治療効果の報告がなされているが,確立された治療法は存在しない.今回我々は悪性腹膜中皮腫の3例を経験したので若干の文献的考察を加え,これを報告する.
索引用語