セッション情報 ポスター

臨床病態-2

タイトル P-406:

門脈ガス血症に門脈血栓症を伴った非閉塞性腸間膜虚血症の1例

演者 碇 直樹(東京女子医科大学消化器病センター外科)
共同演者 谷口 清章(東京女子医科大学消化器病センター外科), 伊藤 俊一(東京女子医科大学消化器病センター外科), 椎原 正尋(東京女子医科大学消化器病センター外科), 金子 由香(東京女子医科大学消化器病センター外科), 工藤 健司(東京女子医科大学消化器病センター外科), 山田 卓司(東京女子医科大学消化器病センター外科), 成宮 孝祐(東京女子医科大学消化器病センター外科), 笹川 剛(東京女子医科大学消化器病センター外科), 喜多村 陽一(東京女子医科大学消化器病センター外科), 山本 雅一(東京女子医科大学消化器病センター外科)
抄録 症例は高血圧,脳梗塞の既往のある78歳,男性.2013年6月胃癌に対して胃全摘,膵脾合併切除,空腸瘻造設術後,膵液漏は改善傾向であったが,食事摂取が不安定であった.術後9日目に嘔吐を認め,CTで門脈ガス血症(portal venous gas:PVG)を伴うイレウス像を認めた.空腸瘻からのドレナージ,イレウス管挿入を試みたが,冷汗が出現,血圧も低下し,症状出現より約4.5時間後に空腸瘻,イレウス管からの排液が暗赤色に変化した.このため,絞扼性イレウスを疑い緊急手術を施行した.開腹所見では小腸,大腸に多発する非連続性の壊死を認め,計120cmにわたる小腸部分切除,右結腸切除を行い,回腸断端を単孔式ストマとした.病理所見は血栓を伴わない虚血壊死像であり非閉塞性腸間膜虚血症(nonocculsive mesenteric ischemia:NOMI)と診断した.術後,DICとなったものの,プロスタグランジンE1を持続投与し腸管虚血の再燃なく経過した.しかし,術後0日目より肝機能障害の増悪傾向を認めた.CTで門脈血栓を認めたため,ヘパリン,アンチトロンビンIIIを投与した.現在術後90日,炎症,肝障害ともに改善している.NOMIの症例報告は医中誌で「非閉塞性腸間膜虚血症」をキーワードに検索すると会議録を除き36症例が報告されている.このうち11例でPVGを認めている.急性腹症の診断においてPVGを認めた場合はNOMIの可能性を念頭に置くべきと考えられた.また,NOMIにPVGを伴った報告のうち,術後に門脈血栓症を合併した報告は自験例のみであった.
索引用語