セッション情報 ポスター

臨床病態-2

タイトル P-407:

腹水ADA上昇で結核性腹膜炎を疑い腹腔鏡検査にて確定診断し得た一例

演者 竹村 忠晴(市立芦屋病院内科)
共同演者 小嶋 和絵(市立芦屋病院内科), 池田 公一郎(市立芦屋病院内科), 臼井 健郎(市立芦屋病院内科), 竹田 晃(市立芦屋病院内科), 小関 萬里(同外科)
抄録 【症例】80歳代,女性【主訴】発熱,倦怠感,腹部膨満感,食欲低下【既往歴】無症候性脳梗塞【現病歴】20XX年1月頃より37℃以上の発熱・倦怠感を自覚.近医にて内服加療されたが改善せず3月になり38℃以上の発熱と腹部膨満感も出現し食欲も低下した.4月上旬に別の医院を受診し炎症反応上昇を指摘され内服加療を受けたが改善せず精査加療目的で当院内科に紹介入院となった.【現症】体温38.2℃,腹部やや膨満・圧痛なし・筋性防御なし・反跳痛なし【検査所見】血液検査ではCRP 18.5mg/dlとCA125 423.5U/mlの上昇を認めた.胸部CT検査では肺野に異常なく腹部CT検査では腹水と腹膜肥厚を認めた.【入院後経過】第2病日に腹水穿刺を施行し細胞診で悪性細胞は認めず,炎症細胞増殖を認めた.腹水の細菌検鏡検査は一般細菌陰性,結核菌は検鏡・PCR共に陰性であった.腹水生化学検査でADAは55.5 U/Lと上昇しており追加採血でT-SPOT陽性反応を認めた.癌性腹膜炎除外の為,各種検査を施行したがいずれも異常無かった.以上より結核性腹膜炎を疑い第9病日に診断的腹腔鏡検査を施行した.腹腔鏡検査では悪性腫瘍に相当する病変は無く,腸間膜の肥厚と大網癒着・壁側腹膜や横隔膜に白色結節を認め同部より生検した.結節のZiehl-Neelsen染色で抗酸菌を認め病理検査にてLanghans巨細胞を伴った類上皮肉芽腫を認め一部には乾酪壊死が認められ結核性腹膜炎と診断した.第12病日から抗結核療法(イソニアチド,リファンピシン,エタンブトール)を開始し,症状改善傾向となり通院加療となった.尚,腹水中の結核菌細菌培養は8週培養で1コロニーを検出し,コロニーのPCRから結核菌が証明された.【考察】結核性腹膜炎は腹水穿刺による結核菌証明は困難な事が多く,腹水中のADA値上昇が診断の契機となる報告もある.本症例も腹水中のADA上昇から結核性腹膜炎を強く疑い,最終的に腹腔鏡検査にて確定診断をし得た.若干の文献的考察を加え報告する.
索引用語