セッション情報 ポスター

臨床病態-2

タイトル P-408:

魚骨による穿孔性虫垂炎の1例

演者 吉岡 康多(近畿大学医学部外科学下部消化管部門)
共同演者 所 忠男(近畿大学医学部外科学下部消化管部門), 小北 晃弘(近畿大学医学部外科学下部消化管部門), 井上 啓介(近畿大学医学部外科学下部消化管部門), 杉浦 史哲(近畿大学医学部外科学下部消化管部門), 大東 弘治(近畿大学医学部外科学下部消化管部門), 吉藤 竹仁(近畿大学医学部外科学下部消化管部門), 上田 和毅(近畿大学医学部外科学下部消化管部門), 肥田 仁一(近畿大学医学部外科学下部消化管部門), 奥野 清隆(近畿大学医学部外科学下部消化管部門), 前川 昌平(近畿大学医学部外科学小児外科部門)
抄録 【症例】66歳男性.【既往歴】3年前に胃癌に対し,腹腔鏡補助下幽門側胃切除術を施行.【現病歴】2日前より下腹部違和感を認め,前日午後より右側腹部痛,嘔吐が出現したため近医受診.上行結腸憩室炎の疑いで当科紹介となった.【現症】体温36.6度,腹部平坦,右下腹部に圧痛,反跳痛,筋性防御を認めた.【検査所見】血液検査所見ではWBC 14500/μl,CRP 2.4 mg/dlと炎症反応が上昇していた.腹部造影CT検査では,虫垂が20mm大に腫大しており,虫垂内に高輝度な線状石灰化陰影を認めた.また,周囲脂肪織の不整像,右側腹部の膿瘍形成,腸管壁外air像を伴っていた.【入院経過】魚骨などの異物による穿孔性虫垂炎と診断し,同日,緊急手術を施行した.手術所見では虫垂先端部分が穿孔し,側腹部に膿瘍を形成していた.膿瘍壁を開放し,虫垂切除術を施行した.摘出した虫垂内腔には,糞石と1cm大の魚骨を認めた.術後は麻痺性イレウスを認めたものの,保存的加療にて改善し,16日目で退院となった.本人に,詳しく問診を行ったところ,緊急手術の5日前に鱧鍋を摂取していた.【考察】本邦における魚骨による虫垂炎・虫垂穿孔の症例報告(会議録を除く)は2000年から2010年の間で22例あり比較的まれな疾患である.魚骨による消化管穿孔は上部消化管,小腸,大腸の順で多いといわれ,虫垂は2.9%とまれである.魚骨の消化において胃酸の存在は幽門輪の機能と合わせて重要であり,胃切徐術後は魚骨による消化管穿孔のリスク要因といわれている.今回,胃切除術後の魚骨による穿孔性虫垂炎を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する.
索引用語