セッション情報 |
ワークショップ17(消化器病学会・肝臓学会合同)
遺伝性肝胆膵疾患の病態と治療
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タイトル |
消W17-12:von Hippel Lindau病における膵病変:全国疫学調査結果および診療ガイドラインの作成
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演者 |
五十嵐 久人(九州大大学院・病態制御内科学) |
共同演者 |
伊藤 鉄英(九州大大学院・病態制御内科学), 西森 功(高知大・消化器内科DELIMITER西森医院) |
抄録 |
【はじめに】von Hippel Lindau(VHL)病は常染色体優性遺伝性で各種の腫瘍が多発する難治性疾患である。主に中枢神経系と網膜の血管芽腫、腎細胞癌、副腎褐色細胞腫、膵腫瘍(膵神経内分泌腫瘍、膵嚢胞)、内耳リンパ嚢腫、精巣上体嚢腫が発症する。発症頻度は欧米では3-4万人に1人とされるが、本邦の正確な発症頻度、各腫瘍の好発年齢、発症関連因子の実態は解明されていない。【目的】VHL病に合併する膵神経内分泌腫瘍と膵嚢胞について、疫学的調査を行い解析する。【方法】「VHL病の病態調査と診断治療系確立の研究」班(主任研究者:執印太郎;高知大学医学部泌尿器科)は実際にVHL病診療を行っている脳神経外科、眼科、泌尿器科、内科医(膵臓専門医)に対し、平成21、22年度にアンケート調査を行った。平成21年度は221名の医師にアンケートを依頼したところ106名から回答が得られた。その結果本邦で213家系、334名のVHL病患者の存在が確認された。平成22年度に追加調査を行い、最終的に355例の調査結果が得られた。今回、膵病変(膵神経内分泌腫瘍と膵嚢胞)について解析した。【結果】膵神経内分泌腫瘍を発症した患者は53名で発症年齢のピークは30~39歳に認められ、中央値は34歳(14-65)であった。多くの症例が診断時に転移を有さず、腫瘍切除や膵切除術が施行された。有遠隔転移例に対する治療として化学療法やTACEが施行され、今回の調査では膵神経内分泌腫瘍が死因となった症例は認められなかった。膵嚢胞の発症は152名で発症年齢のピークは30~39歳に認められ、中央値は33歳(15-68)であった。治療としては10例に嚢胞もしくは膵切除術が行われた。両者を発症した症例は17例に認められた。【結語】VHL病は複数の臓器にわたり同時性・異時性に腫瘍を発生する稀だが難治性の疾患であり、診断・治療方針の決定に時に難渋する。今回の疫学調査結果を踏まえて作成された、VHL病における膵病変の診療ガイドラインについても合わせて報告する。 |
索引用語 |
VHL病, 膵神経内分泌腫瘍 |