セッション情報 ワークショップ18(消化器内視鏡学会・消化器病学会合同)

バルーン内視鏡が変えた診断・治療学

タイトル 消W18-1:

ダブルバルーン式内視鏡を用いた内視鏡治療成績

演者 藤田 朋紀(小樽掖済会病院・消化器病センター)
共同演者 高梨 訓博(小樽掖済会病院・消化器病センター), 勝木 伸一(小樽掖済会病院・消化器病センター)
抄録 【目的】ダブルバルーン式内視鏡(以下DBE)により,従来は治療不可能であった疾患に対しての治療が可能となっている.当院では,2004年よりDBEを導入し,その成績,問題点につき本学会で報告してきた.また, DBEを用いた術後腸管に対するERCP関連手技,大腸挿入困難例のESD・EMRも行っている.今回,当院でのDBEを用いた内視鏡治療成績を検討したので報告する.【対象】 2004年11月から2011年12月までに当院で施行した,DBE 725回(経口253回,経肛門472回)のうち,治療手技を要した207回(止血48回,小腸病変切除12回,異物除去9回,狭窄拡張2回,捻転解除4回, 重積解除2回,術後腸管に対するERCP関連手技27症例40回, DBEを用いた大腸EMR,polypectomy 24回,大腸ESD 66回)とした. 【成績】目的達成率は,止血87.5%(42/48,止血不可能例のうち1例は,緊急手術,5例は保存的に止血),小腸病変切除100% (12/12),異物除去77.8%(7/9)(義歯5,串1, 箸1,イレウス管1, 落下胆石1 ),拡張100%(2/2),捻転解除100%(4/4),重積解除100%(2/2)であった.ERCP関連治療手技のうち総胆管結石に対する最終結石破砕・除去率は68.8%(11/16),閉塞性黄疸(癌8例または術後1例)のうち癌由来腸管狭窄2例を除くステント挿入42.9% (3/7),膵炎に対するステント手技50.0% (1/2),造影目的75% (3/4 胆管100% 2/2,膵管50% 1/2)であった。EMR,polypectomyの断端陰性率100%(24/24)大腸ESDの断端陰性率98.5% (65/66)であった .【結論】DBEを用いた治療成績は良好であった.止血不可能例も保存的に止血される症例が多かった.ERCP関連手技では,悪性疾患における閉塞性黄疸で成績不良であったが総胆管結石に対する治療は概ね良好であった.また,大腸ESD・EMRでは挿入困難例においてもバルーン拡張により術者の望む位置に内視鏡を固定することが可能となったため操作性が安定し安全性や確実性が向上したと考えられた.
索引用語 ダブルバルーン式内視鏡, 内視鏡治療