セッション情報 ワークショップ18(消化器内視鏡学会・消化器病学会合同)

バルーン内視鏡が変えた診断・治療学

タイトル 内W18-4:

クローン病小腸狭窄に対する内視鏡的バルーン拡張術の適応,治療手技の妥当性および有用性とその要因に関する検討

演者 平井 郁仁(福岡大筑紫病院・消化器内科)
共同演者 別府 孝浩(福岡大筑紫病院・消化器内科), 松井 敏幸(福岡大筑紫病院・消化器内科)
抄録 【背景】クローン病(以下,CD)の病態は経年的に変化し,年数を経るごとに狭窄病変や穿孔性合併症のリスクが増大する.小腸病変では,腸管狭窄の合併が多く,外科手術の主要因となっている.内視鏡的バルーン拡張術(以下,EBD)は外科手術を回避する有用な方法であるが,適応や方法の詳細は確立しておらず,長期的には狭窄症状再燃などの課題もある.【目的】当科でのCD小腸狭窄に対するEBDの短期治療成績から本治療の適応,技術的側面,安全性の妥当性を検証し,長期治療成績から症状再燃例や外科手術施行例に陥る要因を明らかにすること.【対象】2005年1月から2012年2月までにCD小腸狭窄に対してEBDが行われた70症例を対象とした.【方法】検討項目は,脱落率(施行を試みたものの施行時に結果的に適応外と判断された脱落症例の割合),本治療法の短期成功率,短期成功例と不成功例の要因比較,施行内容の詳細(拡張径など),安全性および長期経過(再拡張施行率,外科手術率)とした.【結果】脱落率は,14%(10/70)で,高度潰瘍,瘻孔合併が脱落の主要因であった.短期成功をスコープ通過もしくは狭窄症状消失とすると(脱落例を除く)短期成功率は,80%(48/60)で ,3cmを超える狭窄長が不成功要因であった.拡張径は12-20mmで,拡張時間は0.5‐2分で症例に応じて調整されていたが短期成績には影響を与えていなかった.合併症は2例(3%)のみで認められ,保存的治療で改善した出血1例,膵炎1例であった.初回成功した48例のうち22例(49%)は平均11ヵ月後に(予防拡張を含む)再拡張を要した.経過中に狭窄が原因で5例(10%),その他2例が瘻孔,1例が癌合併のため外科的手術となった.再拡張や外科手術例の要因の解析では明らかな因子を特定できなかった.【結論】短期的な治療成績は良好で,安全性も高く,本治療の適応や手技は妥当であると考えられた.長期的には再拡張を要する症例が多いが,その要因は特定できず,さらなる検討が望まれる.
索引用語 クローン病, 内視鏡的バルーン拡張術