セッション情報 ワークショップ18(消化器内視鏡学会・消化器病学会合同)

バルーン内視鏡が変えた診断・治療学

タイトル 内W18-5:

バルーン小腸内視鏡によるクローン病小腸病変の評価とバルーン拡張術の解析から~治療反応性の予測は可能か?~

演者 馬場 重樹(滋賀医大・消化器内科)
共同演者 辻川 知之(滋賀医大・総合内科), 藤山 佳秀(滋賀医大・消化器内科)
抄録 【目的】バルーン小腸内視鏡を施行した小腸病変を有するクローン病症例を対象に検討を行い、治療介入により粘膜治癒が得られている症例やバルーン拡張術に対して反応が良好である症例の特徴を解析する。【方法】クローン病小腸粘膜病変の評価をRutgeertsのスコアに準じて0から4までの5段階に評価し、粘膜障害スコア0もしくは1をMucosal healingと定義した。(1) 2006年1月より当院で複数回バルーン小腸内視鏡観察が行えた84例を対象とし、経過中に粘膜障害度スコア2~4の状態から0~1の内視鏡所見へ改善が得られた群をMucosal healing(MH)群、経過中にMucosal healingが得られなかった群をNon-MH群とし検討を加えた。(2) バルーン拡張術を施行した症例のうち観察期間が1年以上の症例を対象とし、1年以内に再狭窄から再拡張を要する「拡張術抵抗群」と1年以上再拡張を要さない「拡張術反応良好群」に分け検討を加えた。【結果】(1) MH群は18例、Non-MH群は53例であった。MH群は初回評価時に有意にCRP高値、白血球数増多を認めた。また、経過中にバルーン拡張術を要する狭窄病変を認めた症例はNon-MH群で47%でありMH群の22%と比較すると高率であった。(2) 拡張術反応良好群は19例、拡張術抵抗群は23例であった。拡張術抵抗群では拡張術試行回数と一連の手技で拡張術を施行する狭窄個数は有意に多く、粘膜障害度スコアは有意に高かった。【まとめ】治療介入によりMucosal healingが得られる症例は初回バルーン内視鏡時のCRP高値、白血球増多がある症例に見られ、狭窄が経過中に出現しないことが条件であると考えられた。初回評価時に多発狭窄に潰瘍性病変を有する症例は生物学的製剤や免疫調整剤などの追加治療を行っても治療抵抗性であった。
索引用語 バルーン小腸内視鏡, クローン病