セッション情報 ワークショップ18(消化器内視鏡学会・消化器病学会合同)

バルーン内視鏡が変えた診断・治療学

タイトル 内W18-10:

DBERCP145例の既往術式別成績とインジゴカルミン管腔内注入による輸入脚判定法

演者 矢野 智則(自治医大・消化器内科)
共同演者 畑中 恒(自治医大・消化器内科), 沼尾 規且(自治医大・消化器内科)
抄録 【目的】従来は経皮的もしくは外科的に治療されてきた消化管再建術後の胆膵疾患に対して、ダブルバルーン内視鏡によるERCP(DBERCP)が可能になった。しかし、既往術式によっては困難な例もあり、既往術式別の成績を明らかにする。また、Roux-en-Y(RY)吻合部における輸入脚判定の新たな方法の有用性も評価する。
【方法1】2002年4月から2012年1月の間に当院でDBERCPを行った255件/145例について既往術式別に成績を検討する。
【成績1】目的部位到達率/目的とする胆管もしくは膵管の造影成功率/目的達成率は、全145例では85%/79%/75%であった。胆道閉鎖症術後の生体肝移植術後の33例では61%/58%/55%、胆道閉鎖症術後を除いた生体肝移植術後の25例では92%/88%/88%、胆管切除・胆管空腸吻合術後の20例では85%/85%/85%、胃切除・RY再建術後の21例では94%/78%/75%、胃切除・Billroth-II再建術後の10例では100%/90%/70%、幽門輪温存膵頭十二指腸切除術後の10例では100%/100%/100%、その他の15例では87%/87%/73%であった。
【方法2】2009年2月から2012年1月の間のRY吻合を有する60例について、十二指腸下行脚もしくは食道空腸吻合部遠位で内視鏡先端バルーンを拡張して0.2%インジゴカルミン水溶液50mlを鉗子口から注入し、内視鏡がRY吻合部に到達したらインジゴカルミンの流入が少ない方を輸入脚と判定して、正解率を前向きに調査した。
【成績2】60例のうち、6例はインジゴカルミンがRY吻合部に到達せず、3例はRY吻合部を認識できずに目的部位に到達し、2例は内視鏡がRY吻合部に到達できず、除外した。残る49例の評価対象のうち、7例が判定困難、3例が不正解で、39例(80%)が正解で、本法導入前28例の正解率50%に比べて有意に高かった。
【結論】DBERCPは多くの術式で良好な成績であったが、胆道閉鎖症術後の生体肝移植術後では他の術式と比べて到達率が有意に低かった。インジゴカルミン管腔内注入による輸入脚判定法は有用であった。
索引用語 ダブルバルーン内視鏡, DBERCP