セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

HP 基礎(2)

タイトル 消P-103:

メネトリエ病患者分離H. pyloriの特性についての検討~他の菌株との比較~

演者 石川 剛(松下記念病院・消化器科)
共同演者 安藤 貴志(松下記念病院・消化器科), 中部 奈美(京都府立医大大学院・生体機能制御学), 松本 次弘(松下記念病院・消化器科), 沖田 美香(松下記念病院・消化器科), 今本 栄子(松下記念病院・消化器科), 小松 晶子(松下記念病院・消化器科), 長尾 泰孝(松下記念病院・消化器科), 加藤 治樹(松下記念病院・消化器科), 古倉 聡(京都府立医大・生体安全医学), 内藤 裕二(京都府立医大大学院・生体機能制御学), 吉田 憲正(京都府立医大・消化器病態制御学), 岡上 武(京都府立医大・消化器病態制御学), 吉川 敏一(京都府立医大大学院・生体機能制御学)
抄録 【背景】メネトリエ病の病因についての詳細は不明であるが、メネトリエ病患者のH. pylori(HP)陽性率が90%以上と高率であり、HP除菌により病状の改善がみられたとの報告がいくつかあることから、HP感染はメネトリエ病の病態発生に深く関わっていると考えられている。今回、HP除菌により低蛋白血症、巨大雛襞が改善したメネトリエ病患者から分離したHPの各種病原因子のgenotypeとサイトカイン誘導能について、他のHP菌株と比較検討した。【方法】45歳男性のメネトリエ病患者より、HPを分離培養した(MH1401株)。この菌株の特性について、標準株(ATCC43504)および臨床分離株4株の計5株と比較検討した。各菌株のcagA,vacA,ureB, ureC, flaA遺伝子のgenotypeをPCR-RFLPにて分析した。各菌株の胃上皮培養細胞に対するサイトカイン誘導能は、MKN45を用い、各菌株と12時間共培養した後、MKN45細胞よりRNAを抽出し、各種サイトカインのmRNA発現をreal-time RT-PCR法により評価した。【結果】6菌株いずれもcagAは陽性で、MH1401を含む5株のvacAは s1/m1であった。MH1401のureC遺伝子のMseI RFLPパターンは他の5株とは異なっていた。サイトカイン誘導能に関する検討では、HGFおよびIL-6のmRNA発現は、MH1401刺激群で、標準株を含む4株に比し有意に増加した。IL-1β, IL-8, TGF-α, TGF-β1, TNF-αについては、各菌株間で有意差はなかった。【結語】メネトリエ病では、HGFなどのサイトカインの胃粘膜局所濃度が上昇し、それが病態に関与しているとの報告がある。今回の検討から、HP菌株間でgenotypeおよびサイトカイン誘導能に差があることが示された。メネトリエ病の病態発生に、感染HPのDNA型特異性が関連している可能性が考えられ、今後症例を重ね検討する必要がある。
索引用語 H.pylori, メネトリエ病