セッション情報 ワークショップ18(消化器内視鏡学会・消化器病学会合同)

バルーン内視鏡が変えた診断・治療学

タイトル 内W18-12:

ダブルバルーン内視鏡を用いた術後再建腸管を有する胆道疾患に対する治療手技と成績

演者 堤 康一郎(岡山大大学院・消化器・肝臓内科学)
共同演者 加藤 博也(岡山大大学院・消化器・肝臓内科学), 山本 和秀(岡山大大学院・消化器・肝臓内科学)
抄録 【目的】バルーン内視鏡の開発により、主として経皮的手技を要してきた術後再建腸管を有する胆道疾患に対する治療は、内視鏡的アプローチにて可能となった。当院での手技、成績と工夫を報告する。【方法】対象は2008年1月から2012年1月までに胆道疾患が疑われダブルバルーン内視鏡(DBE)を施行した79例178件。DBEはEC-450BI5(Fujifilm)を使用。再建法別に、胃切後Roux-en Y(R群)5例6件、Roux-en Y・胆管空腸吻合(HJ群)28例73件、PD-IIA(PD群)37例86件、胃切後Billroth-II(BII群)7例11件、その他2例2件に分類した。治療は胆管空腸吻合部拡張や採石、ステント留置術などを行った。各群で、1)到達率(初回/累積(2回目以降含む))、2)胆管造影成功率、3)造影後治療必要例における治療手技成功率、4)総手技時間中央値、5)偶発症について検討した。【結果】1)R群:80%/83%、HJ群:68%/79%、PD群:100%/100%、BII群:100%/100%、2)R群:83%、HJ群:74%、PD群:98%、BII群:100%、3)R群4件:100%(採石3、EPBD3、EBD1)、HJ群47件:100%(EBD28、吻合部拡張17、採石14、ENBD7)、PD群74件:100%(吻合部拡張53、EBD40、採石29、ENBD19)、BII群11件:100%(採石11、EPBD9、EBD4、ENBD1)、4)R群:65分(61-127)、HJ群:78分(28-180)、PD群:62分(20-167)、BII群:90分(46-107)、5)高AMY血症21%(37件)、胆管炎5%(9件)、膵炎0%。手技の工夫では、輸入脚の深部にDBEを挿入できない場合、まずPTBDを施行した上でガイドワイヤー(GW)を脚内に誘導し、そのGWをDBE越しにスネアで把持した後、肝側へ引き込むことで到達できることがある。またDBEで挿入したオーバーチューブを介して細径内視鏡EG-530NW(Fujifilm)を直接胆管内に挿入、観察することで、遺残結石や腫瘍再発の評価も可能である。【結論】術後再建腸管を有する胆道疾患に対するDBEによる治療は有用である。低侵襲でADLの観点からもメリットは大きく、更なる普及が期待される。
索引用語 バルーン内視鏡, 胆道手技