セッション情報 ワークショップ18(消化器内視鏡学会・消化器病学会合同)

バルーン内視鏡が変えた診断・治療学

タイトル 内W18-15追:

胃術後患者に対するOlympus社製 short type シングルバルーン内視鏡(SBE)(proto type)を用いたERCPの使用経験と従来型との比較

演者 奥脇 興介(北里大東病院・消化器内科)
共同演者 木田 光広(北里大東病院・消化器内科), 小泉 和三郎(北里大東病院・消化器内科)
抄録 【背景】近年,バルーン内視鏡によるERCPが行われており,SBEの有用性が報告されているが,有乳頭症例の成績は満足いくものではなく,課題は多い.【目的】Olympus社製proto typeであるshort type SBE(SIF-Y0004,有効長15200mm,外径9.2mm,チェンネル径3.2mm)及びスライディングテューブ(有効長880mm)を用いたERCPの使用経験を報告し,従来型SBE(SIF-Q260)との比較検討を行った.【対象】2011年6月から2012年2月までに当院でshort type SBEを用いてERCPを施行した胃術後患者20例29件と従来型SBEを使用した31例.【方法】short type群,従来型群をB-II法・R-Y法の再建法別にretrospectiveに比較検討した.検討項目は,乳頭到達率,到達時間,造影成功率,治療完遂率,偶発症とした.【結果】消化管狭窄・閉塞でscopeの通過が不能であったshort type SBE群3例4件,従来型群4例は除外した.B-II法はshort type群6例7件,従来型群9例,乳頭到達率はshort type群:従来型群86%(6/7):100%(9/9),造影成功率83%(5/6):89%(8/9),治療完遂率80%(4/5):89%(8/9)であった.R-Y法はshort type群11例18件,従来型群18例,乳頭到達率はshort type群:従来型群89%(16/18):78%(14/18),造影成功率87.5%(14/16):71.5%(10/14),治療完遂率92.3%(12/13):88.8%(8/9)であった. 平均到達時間はB-II法でshort type群:20.1分,従来型群:36.3分,R-Y法でshort type群:20.1分,従来型群:22.7分であった.偶発症はB-II法で高Amy血症:short type群:従来型群,16.6%(1/6):22.2%(2/9),R-Y法で高Amy血症:short type群:従来型群,18.8%(3/16):28.5%(4/14),ERCP後膵炎:12.5%(2/16):14.3%(2/14),消化管穿孔:5.5%(1/18):0%(0/18)であった.両群間に有意差はなかった.【考察】short type SBEは有効長が短いが乳頭到達率が従来型と同等であった.現時点で成績に有意差はないが,従来型と比し有効長15200mm,チャンネル径3.2mmと大部分のERCP処置具の使用が可能となり,より確実で質の高い診断・治療が可能になると思われる。
索引用語 SBE-ERCP, proto type SBE